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ChatGPTでプロジェクト憲章を作る方法|目的・範囲・成功条件を整理

プロジェクトを始めるにあたって、目的や範囲を文書化したいと思っても、何をどこまで書けばよいのか分からず手が止まる、という経験はないでしょうか。前提を整理しないまま進めると、関係者の認識がずれたまま作業が進み、後で手戻りが発生します。

この記事では、プロジェクト憲章に書く8項目と、それをChatGPTで整理して一つの文書にまとめる手順を解説します。関係者が前提を共有できる憲章のたたき台を作れます。

この記事では一つの憲章を最後まで書き上げます。題材は「社内の申請書類を紙から電子申請へ切り替える計画を、経営会議の承認にかける」です。対象は月160件の申請、期限は今期中の残り5か月、追加予算なし、という想定で読み進めてください。

目次

プロジェクト憲章を作る前に情報を集める

ChatGPTに依頼する前に、憲章に必要な情報を集めます。

プロジェクト憲章と計画書の違いを押さえる

プロジェクト憲章は、そのプロジェクトの実施を正式に認めてもらうための文書です。何のために、どこまでやるのかを示し、承認を得るために開始前に作ります。一方の計画書は、承認を得た後に、どの順序でいつまでに進めるかを決める文書です。進め方を固めたい段階の方は、ChatGPTでプロジェクト計画を作る方法を確認してください。

プロジェクト開始の背景を整理する

なぜこのプロジェクトを始めることになったのか、背景を整理します。背景が明確でないと、目的や範囲を決める判断基準があいまいになります。

題材の背景は「押印が必要なため、在宅勤務の日でも出社している」という状態です。件数ではなく、実際に起きている不都合を書きます。月160件という数字だけでは何が問題なのか伝わりません。

解決したい課題と期待される成果を集める

解決したい課題と期待されている成果を集めます。関係者ごとに期待が異なることもあるため、先に把握します。

題材では期待が2つに分かれます。申請する側は「押印のための出社をなくしたい」、承認する側は「承認までの日数を短くしたい」です。見ている成果が違うので、両方を拾います。

期限や予算など既知の条件を揃える

すでに決まっている期限や予算など、既知の条件を揃えます。題材では今期中の残り5か月、追加予算なし、既存のワークフロー機能を使うことの3つです。制約が先に分かっていれば、現実的な範囲で組み立てられます。

ChatGPTでプロジェクトの目的を明確にする方法

情報が集まったら、ChatGPTで目的を明確にします。

なぜ実施するのかを一文で表す

なぜ実施するのかを一文で表せるようにします。長い説明でしか表現できないなら、目的がまだ絞り込めていません。

背景と課題を渡して目的の候補を出させると、自分の言葉だけで考えるより絞り込めます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。

あなたはプロジェクトマネジメントの経験がある担当者です。次の情報をもとに、このプロジェクトの目的を一文で表す案を3つ出してください。
・背景:押印が必要なため、在宅勤務の日でも出社している。申請は月160件
・解決したい課題:押印のための出社と、承認までにかかる日数
・期待されている成果:申請する側は出社をなくしたい、承認する側は日数を短くしたい
・出力:「〇〇するために、〇〇する」の形で、手段ではなく達成したい状態が分かる書き方にする
・条件:渡していない情報は補わないでください。

手段ではなく達成したい状態を目的にする

特定の手段ではなく、達成したい状態そのものを目的にします。手段が目的化すると、状況が変わったときに動けません。

ここが最も間違いの起きる場所です。題材で「電子申請システムを導入する」と書くと、どこまでを対象にするかの根拠がなくなります。契約書も申請書だから入れるべきなのか、判断できません。「押印のための出社をなくす」と書けば、法定保存が必要な契約書は別の課題として外せます。目的の一文が、そのまま範囲の物差しになります。

組織の目標とのつながりを確認する

設定した目的が組織全体の目標とどうつながるかを確認します。方向性が揃っていれば、関係者の理解も得られます。

プロジェクトの範囲を整理する方法

目的が明確になったら、プロジェクトの範囲を整理します。

プロジェクトで実施する内容を明確にする

実際に実施する内容を明確にします。曖昧なまま進めると、作業範囲が際限なく広がります。

題材で対象にするのは稟議・経費・休暇の3種類です。月160件の大半がこの3つなので、ここを電子化すれば目的に届きます。

対象外となる内容も明記する

実施しない内容もあわせて明記します。後の認識のずれを防げます。

題材の対象外は人事評価と契約書です。対象外を書かずに出すと、承認の場で「契約書も入るのか」と問われて話が止まります。外す理由も1行添えます。契約書は法定保存の要件があるためです。

範囲が目的達成に必要十分か確認する

整理した範囲が目的の達成に必要十分かを確認します。狭すぎても広すぎても支障が出ます。

成果物と成功条件を定義する方法

範囲が整理できたら、成果物と成功条件を定義します。

完成させる成果物を具体化する

完成させる成果物を具体的にします。抽象的な言葉で済ませず、誰が見ても分かる形にします。

題材の成果物は、申請フォーム3種、承認ルートの定義、運用手順書です。「電子申請の仕組み」とだけ書くと、何ができたら完成かが決まりません。

成功したと判断する指標を決める

成功と判断するための指標を決めます。先に基準を決めておけば、終了時の評価があいまいになりません。

指標には、期限を守れたか、費用の範囲で収まったか、成果物が求められる水準に達したかといった型があります。どの型を使い、どの数値を基準にするかは自社で決めます。

題材では「対象3種が電子で完結する割合」と「承認までの日数」の2つを置きます。数字の基準は自社で測ってから入れます。現状を測らずに目標値を書くと、達成したかを後から判定できません。

成果物と成功条件を混同しない

成果物と、成功を示す条件を混同しないようにします。完成しても成功条件を満たさない場合があるため、分けて扱います。

題材では、フォーム3種と手順書が完成しても、現場が紙で出し続けていれば成功条件を満たしません。成果物は作れば終わり、成功条件は使われて初めて満たされます。

スポンサーと承認責任を明確にする

成果物と成功条件が定まったら、誰が判断し承認するのかを明確にします。実行担当や確認担当の割り振りは憲章の範囲ではないため、ChatGPTでRACIを作る方法で整理してください。

スポンサーや責任者を特定する

スポンサーや最終責任者を特定します。誰が最終判断を行うのかが不明確だと、意思決定の場面で混乱します。

題材ではスポンサーが管理部門長、承認は経営会議です。承認の場が会議体なら、開催日を先に確認します。月1回なら、それが計画の起点です。

意思決定や承認の責任を明確にする

意思決定や承認を行う責任の所在を明確にします。あいまいなままだと、重要な判断が滞ります。

開始時点の前提条件と制約を明記する

承認の責任が整理できたら、開始時点の前提条件と制約を明記します。

計画の前提となる条件を明記する

計画が成り立つ前提となっている条件を明記します。前提が崩れたときに影響が出ることを、先に関係者と共有します。

題材の前提は「既存のワークフロー機能で3種類のフォームが作れること」です。崩れると、追加予算なしという条件と両立しなくなります。前提は、崩れたときに何が起きるかまで書きます。

変更できない制約を整理する

期限や予算など、変更できない制約を整理します。題材の制約は今期中の残り5か月と追加予算なしの2つです。

開始時点で見えている重大リスクを記録する

開始時点で見えている重大なリスクを記録します。網羅は不要で、影響の大きいものから記録します。

題材で記録するのは「決算期と重なると管理部門の工数が取れない」の1件です。5か月のうち1か月は実質的に動けません。

リスクを発生確率や影響度で評価し、対応策まで管理する手順は、ChatGPTでリスク管理表を作る方法で解説しています。

ChatGPTでプロジェクト憲章の形へまとめる方法

各項目が整理できたら、ChatGPTで一つの文書にまとめます。

各項目を一つの文書構成へ整理する

整理してきた各項目を一つの文書構成へまとめます。ばらばらの状態から、読みやすい順序へ並べ直します。

憲章に書く項目は次の8つで足ります。記入例は題材のものです。

項目書く内容記入例
背景なぜ始めることになったか押印が必要なため、在宅勤務の日でも出社している
目的手段ではなく達成したい状態押印のための出社をなくし、承認を待つ時間を短くする
範囲実施する内容と、しない内容対象は稟議・経費・休暇の3種、対象外は人事評価と契約書
成果物完成させるもの申請フォーム3種、承認ルート定義、運用手順書
成功条件成功したと判断する基準対象3種が電子で完結する割合と、承認までの日数
スポンサーと承認者判断・承認する人管理部門長がスポンサー、承認は経営会議
前提条件と制約前提と、動かせない条件前提は既存機能で作れること、制約は今期中と追加予算なし
開始時点の重大リスク影響が大きいリスク決算期と重なると管理部門の工数が取れない

集めた内容を渡して、この構成へ並べ替えさせます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。

あなたはプロジェクト憲章の作成に慣れた担当者です。次の内容を、プロジェクト憲章の文書構成へ並べ替えてください。
・項目の順序:背景/目的/範囲/成果物/成功条件/スポンサーと承認者/前提条件と制約/開始時点の重大リスク
・出力:項目名を見出しにして、各項目を2〜3行にまとめる
・条件:渡していない情報は補わないでください。数値が渡されていない項目は、目安を書かずに「未測定」と書いてください。

【以下、整理した8項目の内容を記載してください】

※【 】の行は削除し、自分の情報に置き換えてから送信してください。

曖昧な表現や矛盾をChatGPTで洗い出す

曖昧な表現や矛盾がないかをChatGPTに洗い出してもらいます。自分だけで見返すより、見落としに気づけます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。

あなたは第三者としてプロジェクト憲章を確認する立場です。次の憲章案を読み、①解釈が分かれる曖昧な表現 ②項目間で矛盾している箇所 ③根拠が示されていない記述 の3つに分けて指摘してください。
・出力:指摘ごとに「該当箇所/問題/確認すべきこと」を1行で書く
・条件:修正案は不要です。渡した文面だけを見て指摘してください。

【以下、憲章案を記載してください】

※【 】の行は削除し、自分の情報に置き換えてから送信してください。

題材でこの依頼をかけると、成功条件の欄が指摘されます。「電子で完結する割合」とあるだけで、何割なら成功かが書かれていないためです。

AIが補完した未確認情報を削除する

ChatGPTが文章を整える過程で補完した、確認の取れていない情報は削除します。もっともらしく書かれていても、事実に基づかない内容は残しません。

題材で紛れ込むのは「承認までの日数は一般に3営業日程度」という一文です。渡していない数字ですが、成功条件の欄が空いているために補われます。空欄はAIが埋める場所です。未測定と書けば、この補完は起きません。

関係者と確認してプロジェクト憲章を確定する

文書としてまとまったら、最後に関係者と確認して確定します。

関係者間で目的と範囲の認識を合わせる

作成した憲章をもとに、関係者間で目的と範囲の認識を合わせます。文書ができた時点で終わりにせず、読み合わせて確認します。題材で効くのは範囲の欄で、対象外に契約書と書いてあることをその場で承認者に見せておきます。

成功条件と責任者について合意する

成功条件と、意思決定を行う責任者について合意を得ます。合意のないまま進めると、後で判断の正当性が問われます。

承認後の変更は履歴を残して管理する

承認後に内容を変更する場合は、履歴を残して管理します。経緯が分かれば、後から振り返るときに混乱しません。

まとめ

ChatGPTでプロジェクト憲章を作る際は、必要な情報を集めたうえで目的と範囲を明確にします。成果物と成功条件、スポンサーと承認責任、前提条件や制約を整理し、文書の形にまとめて関係者と確認すれば、認識を共有できるたたき台に仕上がります。

この記事で追いかけた憲章は、8項目が埋まった状態で経営会議にかかります。対象は稟議・経費・休暇の3種、対象外は人事評価と契約書、スポンサーは管理部門長です。埋まらないのは成功条件の数値で、現状の承認日数を測るまでは「未測定」と置きます。この空欄が、承認前にやることのリストです。

持ち帰れることは2つです。ひとつは目的を手段で書かないこと。「電子申請システムを導入する」では、契約書を範囲に入れるかを判断できません。もうひとつは測っていない数値を空欄で出さないこと。空欄はAIが一般的な目安で埋めるので、「未測定」と書いて残します。

まずはこのプロジェクトを始めることになった背景を整理してみてください。プロジェクト管理全体でのAI活用は、AIでプロジェクト管理を効率化する方法で解説しています。

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