新しいプロジェクトを任されたものの、何から手をつければよいのか分からず、目的や体制、スケジュールがまとまらないまま着手してしまう、という経験はないでしょうか。情報を整理しないまま進めると、後から関係者との認識のずれに気づきます。
この記事では、承認された前提をもとに成果物・体制・工程とマイルストーン・実現性をChatGPTで固め、関係者と合意できる計画へ整えるまでの手順を解説します。
この記事では一つの計画を最後まで組み立てます。題材は「オフィス移転に伴う什器の手配と回線の切り替えを、3か月で計画する」です。移転日は動かせず、目的と範囲は憲章で承認済み、という想定で読み進めてください。
プロジェクト計画を作る前に憲章と期限を確認する
ChatGPTに整理を依頼する前に、計画の土台となる前提と期限を確認しておきます。
承認済みの目的と範囲を確認する
計画づくりは、承認された目的と範囲を受け取ることから始まります。計画の段階で決め直すものではなく、動かせない前提として扱います。目的や範囲がまだ固まっていない場合は、先にChatGPTでプロジェクト憲章を作る方法で整理し、承認を得てから計画へ進んでください。
題材で受け取るのは、目的が「移転後の初日から通常業務ができる状態にする」、範囲が什器の手配・回線の切り替え・座席レイアウトの3つ、対象外が内装工事と賃貸契約です。
開始時期と完了期限を確認する
開始時期と完了期限を確認します。期限が定まっていないと、フェーズやマイルストーンの検討が進みません。
題材の完了期限は3か月後の移転日です。この日付は交渉の対象になりません。期限から逆算する確認が、後の章で効いてきます。
ChatGPTで主要な成果物を整理する方法
前提と期限が確認できたら、ChatGPTを使って必要な成果物を整理します。
プロジェクトで求められる主要な成果物を整理する
達成したい状態を実現するために必要な成果物を整理します。求められる成果物はプロジェクトの性質で異なるため、抜け漏れを確認しながら整理します。
目的と範囲を渡して洗い出させると、自分の想定にない成果物に気づけます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。
あなたはプロジェクトマネジメントの経験がある担当者です。次の前提をもとに、このプロジェクトで完成させる必要がある成果物を洗い出してください。
・目的:移転後の初日から通常業務ができる状態にする
・対象範囲:什器の手配、回線とネットワークの切り替え、座席レイアウト
・対象外:内装工事、賃貸契約の手続き
・完了期限:3か月後の移転日
・出力:成果物名と、それが必要な理由を1行ずつ書く
・条件:範囲外のものは含めないでください。渡していない前提を補わないでください。
題材で出てくるのは、什器の発注リスト、回線切替スケジュール、座席レイアウト図、移転当日の手順書の4つです。当日の手順書は自分の想定に入っていません。初日から業務ができる状態にする、という目的から出てきた成果物です。
プロジェクトの体制と役割分担を整理する方法
成果物が固まったら、それを実現するための体制と役割分担を整理します。実行・承認・相談・共有の役割分担は、RACIの作り方で解説しています。
実行担当・確認担当・承認者の役割を整理する
作業を行う担当、内容を確認する担当、承認する担当をそれぞれ整理します。役割を分ければ、誰が何に責任を持つのかが明確になります。
題材の体制は、総務2名が実行、回線は情報システム1名、各部門の代表3名が確認、総務部長が承認です。
役割の抜けや重複がないか確認する
整理した役割分担に抜けや重複がないかを確認します。同じ作業を複数人が担当していたり、誰も担当していない作業が残っていたりすると進行に支障が出ます。
題材で抜けが見つかるのは座席レイアウトです。各部門の代表は確認の役割ですが、決める担当が誰なのかは決まっていません。確認する人しかいない成果物は、いつまでも出てきません。
プロジェクトの主要フェーズとマイルストーンを整理する方法
体制が固まったら、プロジェクト全体を工程に分け、節目となるマイルストーンを整理します。成果物からタスク・依存関係・期限を出す手順は、WBSの作り方で解説しています。
プロジェクトを大きな工程に分ける
プロジェクト全体をいくつかの大きな工程に分けます。工程単位で捉えると流れを把握しやすく、後の進捗管理にもつながります。
分け方は二つあります。成果物の完成単位で分ける方法は、何がどこで出来上がるかが分かりやすくなります。承認や判断が必要な地点で分ける方法は、関係者がいつ関わるかが明確になります。工程の数は5〜7程度に収めると、管理しやすく関係者にも伝わります。
成果物と期限を渡して、工程の候補を出させます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。
あなたはプロジェクトマネジメントの経験がある担当者です。次の情報をもとに、このプロジェクトを大きな工程に分けてください。
・完成させる成果物:什器の発注リスト、回線切替スケジュール、座席レイアウト図、移転当日の手順書
・開始時期:今月
・完了期限:3か月後の移転日
・関係者が承認や判断を行う場面:什器の発注、回線工事の日程確定、座席レイアウトの確定
・出力:工程は5〜7個に収め、各工程について「工程名/その工程で出来上がるもの/次へ進む条件」を1行で書く
・条件:期間の見積もりは含めないでください。
題材では、現状把握・手配と発注・切替準備・移転当日・立ち上げ確認の5工程になります。
各工程で到達すべき節目を決める
それぞれの工程で、どこまで進んでいれば次に進めるのかという節目を決めます。節目が明確なら、計画通りに進んでいるかを判断できます。
節目は「〜を進める」ではなく「〜が完了している」「〜の承認が取れている」という到達した状態で書きます。「要件の確認を進める」では達成したかを判断できませんが、「要件一覧について関係者の承認が取れている」なら誰でも確認できます。
題材の「手配と発注」の節目は「什器の発注書が出ており、回線工事の日程が確定している」です。発注したかは誰でも確認できます。
全体期限に対して工程の並びが現実的か確認する
決めた工程の並びが、完了期限に対して現実的かを確認します。並べただけで整合性を見ないと、途中で無理が生じます。
確認は期限から逆算します。完了期限に最後の工程の終わりを置き、各工程に必要な期間を後ろから積み上げ、開始日が現在より前になる工程がないかを見ます。前になる工程があれば、その計画は今の条件では成立していません。
題材はここで成立しません。回線の切替工事は業者の手配に6週間、什器は納品に8週間かかります。移転日から逆算すると、手配と発注の開始日が現在より2週間前になります。工程を並べた時点では気づけず、期間を積み上げて初めて分かります。
成立しない場合の選択肢は三つあります。対象範囲を絞るか、期限を交渉するか、依存関係のない工程を並行して進めるかです。どれも関係者の合意が必要なため、計画段階で見つけておきます。
題材では移転日が動かず範囲も承認済みなので、三つ目を選びます。座席レイアウトの確定を待たずに、回線工事の発注だけ先に出します。
計画の実現性を確認する方法
工程とマイルストーンが固まったら、その計画が実際に成り立つかを確認します。発生確率・影響度の評価と対応策の整理は、リスク管理表の作り方で解説しています。
計画確定後に範囲や納期の変更が発生した場合は、ChatGPTで変更要求を整理する方法|範囲・納期・コストへの影響を確認に沿って影響を整理できます。
動かせない条件や利用できる資源を整理する
予算や人員など、動かせない条件と利用できる資源を整理します。把握しておけば、計画が現実的な範囲に収まっているかを確認できます。
計画に影響する主要なリスクを洗い出す
計画の進行に影響しうる主要なリスクを洗い出します。概要を伝えて依頼すると、見落としがちな観点に気づけます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。
あなたはプロジェクトマネジメントの経験がある担当者です。次の計画を読み、計画の前提が崩れる場面を挙げてください。
・工程とマイルストーン:現状把握/手配と発注/切替準備/移転当日/立ち上げ確認の5工程
・動かせない条件:移転日は変更不可。回線工事は業者手配に6週間、什器は納品に8週間
・利用できる資源:総務2名、情報システム1名、各部門の代表3名
・出力:「どの工程で/何が起きると/計画のどこに影響するか」を1行ずつ書く
・条件:発生確率の数値は付けないでください。渡していない条件を補わないでください。
未確定事項と確認が必要な前提を分ける
まだ確定していない事項と、確認が必要な前提条件を分けて整理します。未確定のまま組み込むと、前提が崩れたときに計画全体を見直すことになります。
題材の未確定事項は「移転先のビルで希望する回線工事ができるか」です。ビル管理会社の回答待ちで、できないと分かれば回線の工程は組み替えです。未確定のものは前提として書き、崩れたときに何が起きるかまで添えます。
プロジェクト計画を関係者と確認できる形へ整える方法
ここまで整理した内容を、関係者と確認できる一つの計画としてまとめます。
目的・成果物・体制・節目を一つの計画にまとめる
整理してきた目的、成果物、体制、マイルストーンを一つの計画にまとめます。情報が一つになれば、全体像を関係者と共有できます。
計画に含める要素と、それぞれをどこで整理したかは次のとおりです。
| 項目 | 書く内容 | どこで整理したか |
|---|---|---|
| 承認済みの目的と範囲 | 何のために、どこまでやるか | 憲章で決定したものを転記する |
| 期限 | 開始時期と完了期限 | 最初の章 |
| 主要な成果物 | 完成させるもの | 成果物の章 |
| 体制と役割分担 | 実行・確認・承認の担当 | 体制の章(詳細はRACIの作り方) |
| 工程とマイルストーン | 工程の区切りと次へ進む条件 | フェーズの章 |
| 前提条件・制約・リスク | 動かせない条件と想定リスク | 実現性の章(詳細はリスク管理表の作り方) |
この6項目を渡して、計画の形にまとめさせます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。
あなたはプロジェクト計画の作成に慣れた担当者です。次の内容を、関係者と確認できる計画の形にまとめてください。
・項目の順序:目的と範囲/期限/主要な成果物/体制と役割分担/工程とマイルストーン/前提条件・制約・リスク
・出力:項目名を見出しにして、各項目を2〜3行にまとめる。最後に「関係者に確認したい論点」を箇条書きで付ける
・条件:渡していない情報は補わないでください。未確定の事項は「未確定」と書き、確定したかのように書かないでください。期間の見積もりを勝手に足さないでください。【以下、整理した6項目の内容を記載してください】
※【 】の行は削除し、自分の情報に置き換えてから送信してください。
関係者が確認すべき論点を明示する
計画の中で、関係者に確認してもらいたい論点を明示します。明示しておけば、確認や合意形成が進みます。
題材の論点は2つです。回線工事の発注を座席レイアウトの確定前に出してよいか、ビルの工事が不可だった場合に誰が代替案を決めるかです。
合意内容を反映してプロジェクト計画を更新する
関係者との確認を経て合意した内容を計画へ反映します。計画は一度作って終わりではなく、合意のたびに更新するものとして扱います。
計画が合意できたら、次は計画と実績の差を管理する段階に入ります。実績・遅延・課題を報告の形へ整える手順は、ChatGPTで進捗報告を作る方法で解説しています。
まとめ
ChatGPTでプロジェクト計画を作る際は、承認された目的と範囲を前提として受け取り、成果物、体制、工程とマイルストーン、実現性の順に整理します。一つの計画にまとめ、確認すべき論点を明示しながら合意を得ることで、着手前に共通認識を持てる計画に仕上がります。
この記事で追いかけた計画は、成果物4つ・5工程・関係者6名にまとまります。ただし期限から逆算した時点で成立せず、回線工事の発注を座席レイアウトの確定前に出す形へ組み替えます。未確定のまま残るのはビルの工事可否で、前提として明記したうえで承認にかけます。
持ち帰れることは2つです。ひとつは工程を並べた後に期間を積み上げること。並べた時点では成立して見えます。もうひとつは確認する人しかいない成果物を作らないこと。題材の座席レイアウトは、確認の担当だけが決まっていて作る担当が空です。
まずは完了期限から逆算して、工程の並びが成り立つかを確かめるところから始めてみてください。プロジェクト管理全体でのAI活用は、AIでプロジェクト管理を効率化する方法で解説しています。