生成AIで製品の説明文を作らせると、当たり障りのない一般論が返ってくる。自社の機能も実績も入っていないため、結局は自分で書き直している。
この状態は、AIに自社の情報が渡っていないことから起きます。トランスコープは、自社の資料やURLを先に読み込ませてから文章を生成するツールです。読ませる情報を整える工程が必要になる代わりに、出てくる文章に自社の事実が入ります。この記事では、読み込ませる資料の選び方から生成後の検証までを順に示します。本文で触れる生成量の上限は、2026年9月に公式サイトで確認しました。
一般論の文章と自社情報に沿った文章の違い
先に、何が変わるのかを押さえます。差が出るのは文章のうまさではありません。
一般的な生成AIで起きる問題
自社の製品説明を一般的な生成AIに書かせると、業界で一般に言われている内容が返ってきます。文章としては読めますが、自社の名前を別の会社に置き換えても成立する内容です。
これは指示の書き方の問題ではありません。渡していない情報を出力に含めることはできないため、足りない部分が一般論で埋まります。自社の機能名、実際の導入社数、対応している範囲はどれも入りません。
自社の情報を毎回入力する方法もありますが、1本作るたびに製品資料を貼り付け直す作業が発生し、本数が増えるとこの入力のほうが時間を取ります。
自社の情報を読ませる意味
読み込ませる方式では、資料を先に登録します。登録した内容をもとに生成されるため、毎回の入力が不要になります。
効果が出るのは2本目以降です。同じ製品について説明文、事例紹介、営業資料の文面を作る場合、最初の登録を1回済ませれば残りは条件を変えるだけで済みます。
もう1つの効果は、出てくる内容の範囲が限られることです。登録した資料の中身から書かれるため、まったく身に覚えのない機能が現れる頻度が下がります。方式ごとの向き不向きはAI文章作成ツールの選び方で整理しています。
どんな業務で差が出るか
差が出るのは、自社固有の事実を含む文章です。導入事例の紹介、採用ページの文面、代理店向けの案内のように、実績や条件を正しく書かないと成立しないものが対象になります。
逆に差が出ないのは、自社の情報を含まない文章です。一般的な挨拶文、季節の案内、社内向けの短い連絡にはこの方式の利点がありません。準備の手間だけが増えます。
判断の目安は、その文章に自社の固有名詞や数値が3つ以上入るかどうかです。入るなら読み込ませる価値があり、入らないなら別の手段のほうが速く終わります。
読み込ませる自社情報を用意する
操作より先に、この工程で結果が決まります。読ませる資料が古かったり誤っていれば、そのまま出力に出ます。
使える資料と使えない資料を分ける
最初に、手元の資料を2つに分けます。判断の基準は、内容が確定しているかどうかです。
使えるのは、公開済みの製品ページ、確定した仕様書、公式に発表した実績、既に配布したカタログです。これらは社外に出ている内容であり、生成物に入っても問題が起きません。
使えないのは、検討中の企画書、未発表の仕様、社内向けの議事録です。これらを読み込ませると、未確定の内容が公開用の文章に混ざります。除外する理由が「機密だから」ではなく「確定していないから」である点に注意してください。
機密情報を含めない範囲を決める
次に、機密の扱いを決めます。外部のサービスへ資料を預ける形になるため、この線引きは契約前に済ませてください。
除くのは、取引先の名称と条件、個人が特定できる情報、価格の内部基準、社内の人事に関する記述です。これらは公開用の文章に必要がなく、預ける理由もありません。
資料の一部だけを除きたい場合は、該当箇所を削った版を別に作って読ませてください。手元の資料から情報を落とす手順は生成AIへ入力する情報の匿名化で扱っています。判断の基準そのものは生成AIに入力してはいけない情報にまとめています。
情報の新しさを確認する
最後に、日付を見ます。古い資料が混ざると、出力に古い内容が入ります。
確認するのは3点です。価格や条件が現在のものか、記載された機能が今も提供されているか、実績の数値が最新のものか。とくに実績の数値は、社数や導入件数が更新されていることが多い部分です。
両方の版を登録すると、どちらが出るか分からなくなります。登録するのは新しい版だけにしてください。
資料やURLを読み込ませて生成する手順
準備した資料を登録して生成します。ここは操作の順序どおりに進めれば終わります。
ファイルやURLを登録する
登録には、ファイルを渡す方法と自社サイトのURLを渡す方法があります。すでに公開しているページがあるなら、URLのほうが手間がかかりません。
登録する数は絞ってください。一度に大量に入れると、どの資料の内容が出力に使われたのか追えなくなります。1つの文書に必要な資料だけを登録する形が確認しやすいです。
無料の範囲でも登録と生成を試せます。生成できるのは4,000文字までで、利用期限は1週間です。毎月もらえる枠ではないため、長い文章を1本作れば試用は終わります。トランスコープの無料の枠では、自社の資料を1本読ませて出力の質を見る使い方に留めてください。
生成する文書の条件を指定する
登録が済んだら、作りたい文書の条件を指定します。ここで指定する内容が、出力の形を決めます。
指定するのは、文書の種類、読み手、字数、含める要素です。とくに字数は明示してください。指定がないと、必要より長い文章が出て削る作業が増えます。
自由記述で条件を渡す場合は、次の形にすると結果が安定します。
あなたは自社の製品ページを作成する担当者です。
登録した資料の内容だけを使って、製品の説明文を作成してください。
読み手:〇〇(想定する顧客の業種と役職)
含める要素:〇〇(機能、対応範囲、導入の流れなど3つまで)
資料に書かれていない内容は書かないでください。書けない箇所は「資料に記載なし」と出力してください。
出力形式:見出しなしの本文600字以内
最後の一文が重要です。書けない箇所を明示させると、あとの検証で見る場所が特定できます。
生成結果を確認する
生成された文章は、まず通して読みます。この段階で見るのは内容ではなく、条件どおりの形になっているかです。
確認するのは、字数が指定の範囲か、含めると指定した要素が入っているか、余分な要素が入っていないかの3点です。形が合っていない場合は、条件を変えて生成し直すほうが早く終わります。
生成し直す場合は、条件を足すのではなく絞ってください。要素を4つ以上指定すると、どの要素も浅い記述になります。
先に生成した文章を、次の条件で作り直してください。
残す要素:〇〇(1つだけ指定)
削る要素:〇〇
字数:〇〇字以内
出力形式:本文のみ
生成された文章の事実を検証する
ここを省くと、この方式を使う意味がなくなります。自社の名前で出す文章である以上、内容の責任は自社に残ります。
元資料に書かれている内容か確かめる
最初の確認は、出力の各文が登録した資料に書かれているかです。
やり方は、出力から具体的な記述を抜き出し、資料内を検索することです。機能の名前、対応している範囲、導入の手順といった記述が対象になります。資料に見つからないものは、削るか資料で確認したうえで書き直します。
この確認を速く終わらせるには、登録する資料を絞っておくことが効きます。10本登録した状態では、どの資料を見ればよいか分からなくなります。1つの文書に対して2本から3本までに留めてください。
数値と固有名詞を照合する
次に、数値と固有名詞だけを抜き出して照合します。ここは誤りが実害につながる部分です。
対象は、導入社数、対応件数、期間、価格、製品名、機能名、他社名です。これらは資料に書かれていても、文脈が変わって誤った意味になることがあります。たとえば「一部のプランで対応」が「対応」と書かれてしまう形です。
照合の手順そのものは生成AIの回答をファクトチェックする手順で扱っています。
補われた推測を取り除く
最後に、資料から導かれていない結論を探します。資料の範囲内で書かれていても、資料に書かれていない解釈が加わることがあります。
典型的なのは、効果や優位性を示す表現です。「作業時間を短縮できます」「他社より柔軟に対応できます」といった記述は、資料に根拠がなければ削ってください。誇張として問題になるのはこの部分です。
判断に迷う場合は、その一文の根拠が資料の何ページ目にあるかを言えるかどうかで決めてください。言えないなら削る、という基準で運用すると迷いが減ります。
社内で運用する際の決めごと
一人で試す段階を過ぎたら、決めておくことが3つあります。決めずに広げると、公開後に問題が出ます。
読み込ませてよい資料の範囲
最初に、登録してよい資料の範囲を文書にします。使う人が増えたときに、判断がばらつくのを防ぐためです。
書くのは、登録してよい資料の種類、登録してはいけない資料の種類、迷ったときの相談先です。種類で示すと、個別の資料ごとに判断する必要がなくなります。
手元の資料が多くて分類が進まない場合は、一覧を作る段階を機械に任せる手もあります。
あなたは社内の文書管理を担当する担当者です。
以下は社内にある資料の名称の一覧です。
〇〇(資料名を貼り付け)
それぞれが「公開済みで確定した内容」「未確定または社内限りの内容」のどちらに当たるかを判定し、判定できないものは保留として分けてください。
出力形式:資料名/区分/判断の理由の3列の表
出力はあくまで下書きです。最終の区分は、資料の中身を知っている人が決めてください。
生成物を公開する前の確認担当
次に、公開前の確認を誰が行うかを決めます。生成した人とは別の人が見る形が望ましいです。
理由は、生成した人は条件を知っているため、書かれていない内容を補って読んでしまうことです。条件を知らない人が読めば、根拠のない記述に気づきやすくなります。
確認の範囲も決めてください。全文を読むのか、数値と固有名詞だけを見るのかで、かかる時間が変わります。公開範囲が広い文書ほど前者にしてください。
登録した情報の更新と削除
最後に、登録した資料の管理です。登録したままにしておくと、古い内容から文章が生成され続けます。
決めるのは、資料を更新する頻度と、更新したときに古い版を外す担当です。価格や実績を含む資料は、変更のたびに差し替える必要があります。
あわせて、契約を終える場合に登録した情報をどう扱えるかも確認してください。削除を依頼できるか、どの範囲まで消えるかは、トランスコープへ契約前に問い合わせ、文面で受け取っておく項目です。プランごとの上限や費用の考え方はトランスコープの料金プランで扱っています。
よくある質問
Q. 無料の範囲でどこまで試せますか? A. 4,000文字の生成までで、利用できるのは1週間です。600字の説明文であれば6本前後で、資料を登録して出力の質を見るには足ります。本番で使う量ではないため、業務に組み込む段階では有料が前提になります。
Q. 登録する資料はどの形式でもよいですか? A. 対応している形式は公式サイトで確認してください。自社サイトのページであればURLで登録できるため、公開済みの内容を使う場合はこちらが手間がかかりません。
Q. 一般的な生成AIに資料を貼り付ける方法との違いは何ですか? A. 1本だけ作るなら大きな違いはありません。差が出るのは同じ資料から複数の文書を作る場合で、登録を1回で済ませられる分だけ2本目以降が速くなります。
Q. 出てきた文章をそのまま公開してよいですか? A. 資料の範囲内で書かれていても、根拠のない効果や優位性の表現が加わります。その一文の根拠が資料の何ページ目にあるかを言えるか、を基準に読み直してください。言えない記述が残った状態では公開できません。
まとめ
トランスコープは、自社の資料やURLを登録してから文章を生成するツールです。一般的な生成AIとの違いは文章のうまさではなく、出力に自社の事実が入ることです。
進め方は、確定した資料だけを選ぶ、機密にあたる部分を除く、日付を確認する、資料を2本から3本に絞って登録する、条件を指定して生成する、の順です。生成後は、資料に書かれているかの確認、数値と固有名詞の照合、根拠のない記述の削除の3工程を通します。
効果が出るのは、自社固有の固有名詞や数値が3つ以上入る文章で、かつ同じ資料から複数の文書を作る場合です。まずは公開済みの製品ページを1本登録し、そこから説明文を作らせて、出力のどこまでが資料に基づいているかを確かめてください。