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AIでプロジェクト管理を効率化する方法|計画・進捗・役割・リスクを整理

プロジェクト管理に関わる作業が多岐にわたり、計画の整理や進捗確認、リスクの洗い出しに追われて本来の判断業務に時間を割けない、という悩みはないでしょうか。すべてを人の手で進めようとすると、情報整理だけで多くの時間が取られてしまいます。

この記事では、AIをプロジェクト管理に使う前に整理しておきたいことから、計画・進捗・役割分担・リスクそれぞれの活用方法、AIに任せる作業と人が判断する作業の分け方、AIを段階的に取り入れる手順までを順番に解説します。読み終える頃には、プロジェクト管理のどの部分にAIを取り入れ、どこを人が判断すべきかを整理できる状態になります。

説明を具体的にするため、この記事では「全社員200人の勤怠システムを1月1日から新しいクラウド勤怠へ切り替える」という1件のプロジェクトを追いかけます。準備期間は10月からの3か月、関係者は人事2名・経理1名・情報システム1名・拠点担当3名の計7名で、専任のプロジェクトマネージャーはいません。自分は人事の担当者として、管理作業を通常業務の合間に回します。

目次

AIをプロジェクト管理に使う前に整理すること

AIに作業を任せる前に、プロジェクトの前提を整理しておきます。

プロジェクトの目的・成果物・期限を明確にする

まず、プロジェクトの目的、生み出すべき成果物、期限を明確にします。これらが曖昧なままでは、AIに何を整理させればよいのかの判断もぶれてしまいます。

勤怠システムの切り替えなら、成果物は「1月1日の始業時に、全社員200人が新システムで打刻できる状態」と1行で決めます。「新システムを導入する」のままでは、いつ何ができていれば完了なのかが決まりません。日付と人数と動作を入れると、タスクの洗い出しが具体的になります。

AIへ渡せる情報と扱えない情報を分ける

プロジェクトに関する情報のうち、AIへ渡せるものと、機密性の高さから扱えないものを分けます。この区別をしておけば、情報管理の面で問題が生じることを防げます。

このプロジェクトなら、社員の氏名・従業員番号・給与額は渡さないと決め、拠点名は「A拠点」から「C拠点」に置き換えます。タスク名・期限・役職・作業のつながりは渡しても差し支えありません。先に線引きしておくと、途中で毎回迷わずに済みます。

効率化したい管理作業を具体化する

プロジェクト管理業務の中で、特に効率化したい作業を具体化します。漠然と「AIを使いたい」という状態では、どの作業から着手すればよいのかが定まりません。

このプロジェクトで負担が大きいのは「週次の進捗まとめ」と「関係者への報告文の作成」です。ただし感覚のままでは着手先を決められないので、作業を工程に割って時間を見積もります。

工程への分解は次の依頼文で頼めます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。

あなたは業務改善のコンサルタントです。専任のプロジェクトマネージャーがいない社内プロジェクトで、担当者が毎週行っている管理作業を工程に分解してください。対象の作業は「週次の進捗まとめ」と「関係者7名への報告文の作成」です。条件は3点です。(1)1工程は15分以内の単位まで割る、(2)各工程に「情報を集める作業」「整理する作業」「判断する作業」のいずれかを付ける、(3)工程ごとの所要時間の目安を添える。表は「工程」「作業の種類」「所要時間の目安」の3列でお願いします。

出てくる工程は、週2時間ほどの大半が情報を集めて整理する作業で、判断が必要な工程は2つほどです。ここがAIを入れる余地になります。

AIでプロジェクト計画を作る活用方法

前提が整理できたら、プロジェクト計画の作成にAIを活用します。

成果物から必要なタスクを洗い出す

決めた成果物を実現するために必要なタスクを洗い出します。AIに成果物を伝えたうえで整理を依頼すると、自分だけでは気づきにくいタスクの抜けに気づけることがあります。

自分で書いた一覧が18タスクだとして、同じ成果物を渡して洗い出させると、6件ほどが追加されて24タスクになります。追加されるのは就業規則の改定、拠点ごとのICカード配布、旧システムの打刻データの保管期間の確認など、制度と運用の側にあるタスクです。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。

次のプロジェクトについて、完了までに必要なタスクを洗い出してください。条件は4点です。(1)システム設定だけでなく、社内規程・社員への周知・教育・旧環境の後片付けも対象に含める、(2)1タスクは担当者1人が着手できる大きさまで割る、(3)すでに一覧にあるタスクは再掲せず、抜けているものだけを挙げる、(4)各タスクに「なぜ必要か」を1行添える。

成果物:1月1日の始業時に、全社員200人が新しいクラウド勤怠で打刻できる状態
期間:10月1日から12月31日
関係者:人事2名・経理1名・情報システム1名・拠点担当3名
【以下、追加したい内容を記載してください】

※【 】の行は削除し、自分の情報に置き換えてから送信してください。

条件の(3)を入れると、既存の一覧をなぞり直さず、差分だけが返ってきます。

タスクの依存関係と期限を整理する

洗い出したタスクについて、前後の依存関係と期限を整理します。依存関係が整理されていないと、計画通りに進まなくなった際に原因を特定しづらくなります。成果物からタスクへ分解する具体的な手順は、ChatGPTでWBSを作る方法で確認できます。

24タスクを並べただけでは、どれを先に始めるべきか分かりません。前後関係を整理させると、就業規則の改定が「社員への周知」と「本番データの登録」の前提だと見えてきます。

依存関係の整理も頼めます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。

次の24件のタスクについて、依存関係と期限を整理してください。条件は4点です。(1)「このタスクが終わらないと着手できないタスク」を明示する、(2)期限は最終期限の12月31日から逆算して置く、(3)複数のタスクの前提になっているタスクに印を付ける、(4)前提が不明なタスクは推測で埋めず「前提を要確認」と書く。表は「タスク」「前提タスク」「期限」の3列でお願いします。

【以下、追加したい内容を記載してください】

※【 】の行は削除し、自分の情報に置き換えてから送信してください。

条件の(4)がないと、渡していない社内事情を前提として埋めてきます。

計画の抜けや無理な前提を人が確認する

AIが整理した計画に、抜けている項目や現実的でない前提が含まれていないかを人が確認します。整理結果をそのまま採用せず、現場の実情に照らして検証することが大切です。

見直すと、ICカードの配布が11月下旬に置かれています。拠点担当3名は月末が繁忙期で、この週に作業を足すのは無理があります。繁忙期は渡していない情報なので、ここは人が直す部分です。期限を3週間前倒しして11月上旬へ移します。

AIで進捗状況を整理する活用方法

計画ができたら、進行中のプロジェクトの進捗状況の整理にもAIを活用します。

計画と実績の差を整理する

当初の計画と、実際の進捗実績との差を整理します。差分を明確にしておけば、どこに遅れや前倒しが発生しているのかを把握しやすくなります。

11月中旬の時点で、24タスクのうち16件が完了しているとします。残る8件のうち2件が期限を過ぎていれば、この2件が何の前提かを合わせて見ます。

差の整理も任せられます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。

次のタスク一覧について、計画と実績の差を整理してください。条件は4点です。(1)「完了」「進行中」「未着手」「期限超過」に分ける、(2)期限超過のタスクごとに、そのタスクを前提としている後続タスクを挙げる、(3)後続タスクの期限に影響が出るものを明示する、(4)遅れの原因は推測せず、一覧に書かれた事実だけを使う。

【以下、追加したい内容を記載してください】

※【 】の行は削除し、自分の情報に置き換えてから送信してください。

条件の(4)を入れると、遅れの理由を想像で補われずに済みます。

遅延・課題・次の対応を抽出する

整理した差分から、遅延している作業、発生している課題、次に取るべき対応を抽出します。三つを分けて整理すると、報告を受ける側も状況を理解しやすくなります。

この遅延2件が、就業規則の改定案の作成と、B拠点の打刻端末の設置場所の決定だとします。前者は法務の確認待ち、後者は工事業者の日程が埋まっているという別の課題です。遅延の件数だけを報告すると、この違いが伝わりません。

報告相手に合わせて進捗情報をまとめる

抽出した情報を、報告する相手に合わせてまとめます。経営層向けと実務担当者向けとでは、必要とされる詳しさが異なることを意識することが大切です。実績・遅延・課題を報告の形へ整える手順は、ChatGPTで進捗報告を作る方法で確認できます。

このプロジェクトでは、役員会向けと関係者7名向けの2種類が必要になります。同じ材料から2つの文面を作らせると、書き分けの手間が一度で済みます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。

次の進捗情報から、2種類の報告文を作ってください。1つ目は役員会向けで、300字以内、稼働日に間に合うかどうかの見通しと、判断を仰ぎたい点だけに絞ります。2つ目はプロジェクト関係者7名向けで、500字以内、各自が今週着手すべき作業を担当者ごとに箇条書きにします。どちらも、渡していない情報は補わないでください。

【以下、追加したい内容を記載してください】

※【 】の行は削除し、自分の情報に置き換えてから送信してください。

役員会向けは「稼働日に間に合うか」だけが知りたい点なので、タスク名の羅列は省きます。

AIで役割分担を整理する活用方法

進捗が整理できたら、プロジェクトに関わる役割分担の整理にもAIを活用します。

作業ごとの担当と責任を整理する

各作業について、実際の担当者と最終的な責任者を整理します。担当と責任が曖昧では、問題が発生した際に誰が対応すべきか判断できなくなります。

24タスクに担当者を割り当てると、作業する人は決まっていても、可否を判断する人が空欄のタスクが残ります。ここでは3件が「旧システムの打刻データを移行して検証する」に関わるもので、人事と情報システムのどちらの仕事か決まっていない状態です。

相談先と情報共有先を明確にする

作業を進めるうえで相談すべき相手と、結果を共有すべき相手を明確にします。相談先や共有先が整理されていないと、必要な連携が後手に回ります。担当・責任・相談・共有の四つを表として整理する方法は、ChatGPTでRACIを作る方法で確認できます。

データ移行の検証では、相談先が経理になります。打刻データは給与計算の根拠になるため、経理が結果を見ない限り移行の完了を判断できません。担当と責任だけを決めても、この関わりは表に出ません。

責任の抜けや重複を確認する

整理した役割分担に、責任の抜けや重複がないかを確認します。同じ責任を複数人が担っていたり、誰も担っていない作業が残っていたりすると、プロジェクトの進行に支障が出ます。

抜けと重複は、自分で表を眺めていても目が滑ります。表の形になっていれば、条件を指定して拾えます。

点検も任せられます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。

次の役割分担表を点検してください。条件は4点です。(1)最終的な責任者が空欄のタスクを挙げる、(2)責任者が2人以上いるタスクを挙げる、(3)担当者が同じ週に3件以上を抱えているタスクを挙げる、(4)見つかった箇所ごとに「このまま進めた場合に起きること」を1行添える。誰を割り当てるべきかの提案は不要です。

【以下、追加したい内容を記載してください】

※【 】の行は削除し、自分の情報に置き換えてから送信してください。

割り当ての提案まで求めないのは、誰が適任かが社内の事情で決まるためです。

AIでプロジェクトのリスクを整理する活用方法

役割分担が整理できたら、プロジェクトに潜むリスクの整理にもAIを活用します。

起こり得るリスクを洗い出す

プロジェクトの進行中に起こり得るリスクを洗い出します。AIに計画の概要を伝えて確認を依頼すると、経験だけでは見落としがちな観点に気づけることがあります。

ここで起こりやすいのが、成果物と期間だけを渡してしまうことです。すると「ベンダーの倒産」「サーバー障害」「担当者の急な退職」といった、どのプロジェクトにも当てはまる項目が並びます。このプロジェクトで一番効くリスクは「12月は給与計算の繁忙期で経理が動けない」ですが、この観点は出てきません。経理の繁忙期を渡していないので、当然の結果です。

関係者の他業務と繁忙期を材料に足します。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。

次のプロジェクトについて、起こり得るリスクを洗い出してください。条件は4点です。(1)一般的なリスクではなく、渡した情報から具体的に導けるリスクだけを挙げる、(2)関係者の他業務と月次の繁忙期を必ず突き合わせる、(3)リスクごとに「どの情報から導いたか」を明記する、(4)情報が足りず判断できない領域は「情報不足」と書く。

【成果物と期限】ここに記載してください
【関係者の所属と他業務】ここに記載してください
月次の繁忙期:経理=毎月20日〜月末と12月全体/拠点担当=月末/人事=4月と10月
【現在の遅延】ここに記載してください

※【 】の行は削除し、自分の情報に置き換えてから送信してください。

繁忙期の一覧を足すと、11件ほどのリスクが出ます。うち5件は関係者の予定との衝突で、給与計算との重なりもここに入ります。

発生確率と影響から優先順位を付ける

洗い出したリスクについて、発生する確率とその影響の大きさから優先順位を付けます。すべてのリスクに同じ対策を講じようとすると、限られた時間や労力が分散してしまいます。

11件をそのまま扱うと手が回りません。稼働日に間に合わなくなる影響があるものを上位に置き、4件に絞ります。残る7件は一覧に残したまま、対策は用意しない扱いにします。優先順位を付けるのは、切り捨てる範囲を決める作業でもあります。

対応策・兆候・担当者を整理する

優先度の高いリスクについて、対応策、発生の兆候、そして担当者を整理します。兆候を把握しておくことで、リスクが顕在化する前に対応へ着手しやすくなります。整理した内容を一覧で管理する手順は、ChatGPTでリスク管理表を作る方法で確認できます。

給与計算との重なりなら、対応策は「データ移行の検証を11月中に終える」、兆候は「11月20日時点で検証が未着手」、担当は情報システムになります。兆候を日付と状態で書いておくと、その日に見るだけで判断できます。

AIに任せる作業と人が判断する作業を分ける

ここまでの活用方法を踏まえ、AIに任せる作業と人が判断すべき作業を切り分けます。

このプロジェクトで手を動かす作業を並べると、切り分けはこうなります。

管理作業任せ方人が判断した点
タスクの洗い出し抜けの指摘だけを依頼追加6件を採用するかの判断
依存関係と期限の整理表の形まで作らせる繁忙期と衝突する期限の修正
計画と実績の差の整理事実の分類のみ依頼遅れの原因の判断
報告文の作成相手別に2種類を下書き判断を仰ぐ点の選定
役割分担の点検抜けと重複の検出のみ誰を責任者にするか
リスクの洗い出し繁忙期と突き合わせて列挙対策する4件の選定

情報整理や下書きはAIに任せる

情報の整理や文書の下書き作成といった作業は、AIに任せます。定型的な整理作業を任せることで、人はより判断が求められる業務に時間を使えます。

上の表では、6つの作業すべてで整理か下書きを任せています。週2時間かかっていた進捗まとめは、材料を貼って条件を添えるだけになり、確認を含めて40分ほどに収まります。

優先順位や承認は人が判断する

優先順位の決定や最終的な承認は、人が判断します。AIはあくまで判断材料を整理する役割にとどめ、決定そのものは責任を持てる人が行うことが大切です。

表の右列は、どれも社内の事情がなければ決められない項目です。リスク11件から4件を選ぶ判断も、稼働日を動かせない前提を知っているのは担当者だけです。判断の材料を増やすことと、判断そのものを渡すことは別に扱います。

AIの出力を元情報と照合する

AIが出力した内容を、元となった情報と照合します。整理の過程で内容が変わっていないかを確認することが、誤った情報のまま利用する事態を防ぎます。

役員会向けの報告文で、遅延2件のうち1件が「対応済み」と書かれて返ってくることがあります。渡した材料に対応済みとは書いていなくても、整理の過程で表現が付きます。数字と状態が元の材料と一致しているかは、報告を出す前に突き合わせます。

AIをプロジェクト管理へ段階的に取り入れる手順

役割の切り分けができたら、実際にAIを段階的に取り入れていきます。

一つの管理作業から試す

最初から複数の管理作業に同時にAIを取り入れるのではなく、一つの作業から試します。範囲を絞って始めることで、効果や課題を見極めやすくなります。

このプロジェクトなら、最初に試すのは週次の進捗まとめだけにします。毎週繰り返す作業なので、3週で効果が見えます。計画作成のように1回しかない作業では、比べる相手がありません。

作業時間と確認負担の変化を確認する

試した作業について、作業時間や確認の負担がどう変化したかを確認します。効率化できたと感じても、確認作業が増えていては本来の目的を果たせません。

進捗まとめが2時間から40分に減っても、報告文の照合に10分が増えます。この10分は減らせない工程なので、作業時間の記録に最初から含めておき、差し引きで効果を見ます。

効果がある工程へ利用範囲を広げる

効果が確認できた工程から、AIの利用範囲を広げていきます。一度にすべてを切り替えるのではなく、実績を積み重ねながら段階的に適用範囲を拡大することが大切です。

進捗まとめで効果が出たら、次は役割分担の点検とリスクの洗い出しへ広げます。逆にタスクの担当者決めは広げません。社内の事情を毎回説明する手間が、任せて浮く時間を上回るためです。

まとめ

AIでプロジェクト管理を効率化する際は、目的や扱える情報を整理したうえで、計画・進捗・役割分担・リスクの各工程でAIを活用することが大切です。AIに任せる作業と人が判断する作業を切り分け、一つの管理作業から段階的に取り入れることで、安全にプロジェクト管理へAIを取り入れられます。

この記事で追いかけた勤怠システムの切り替えでは、18タスクに6件が加わって24タスクになり、責任者が空欄の3件を埋めます。リスクは11件のうち4件に絞り、給与計算の繁忙期との重なりには「11月20日時点で検証が未着手なら動く」という兆候を置きます。週2時間の進捗まとめは40分になり、報告文の照合に10分が増えます。リスクが一般論で並ぶ状態は、関係者の他業務と繁忙期を渡すことで避けられます。

まずは効率化したい管理作業を一つ選び、具体的に言語化するところから始めてみてください。

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