会議が終わったあと、メモや文字起こしをもとに議事録を作る作業は、地味に時間がかかる業務の一つです。この記事では、AIを使って会議メモや文字起こしから議事録を作る手順を解説します。渡す前の整理から、要点のまとめ方、決定事項とToDoの抽出、共有前の確認まで順に紹介します。
議事録は会議の内容を正しく伝える文書です。AIに任せる部分と人が確認する部分を分けて進めます。
説明を具体的にするため、この記事では「定例会議60分・参加者5名の議事録を当日中に共有する」という作業を追いかけます。議題は3つ、文字起こしは約18,000字、作成に45分かかっている状態から始める想定で読み進めてください。
AIで議事録を作るために用意する情報
AIに依頼する前に、基本情報を確認しておきます。
会議名・日時・参加者を確認する
会議名、開催日時、参加者を確認します。議事録の冒頭に記載する項目なので、先にまとめておくと後が早くなります。
定例会議なら、前回の議事録から日付だけを差し替えれば済みます。
会議メモまたは文字起こしを準備する
議事録のもとになるメモか文字起こしを用意します。断片的でも、そのまま整理の材料になります。
60分の会議なら、文字起こしは15,000〜20,000字になります。ここでは18,000字とします。この量を読み返して要点を拾う作業に、45分の大半が使われます。
議事録に必要な項目を決める
議事録に含める項目は会社やチームによって異なります。要点、決定事項、ToDoのほかに社内で定められた形式があれば、その項目もあわせて確認しておきます。
会議メモや文字起こしをAIへ渡す前の整理
準備した記録は、渡す前に軽く整理しておくと精度が上がります。
個人情報や機密情報の扱いを確認する
メモや文字起こしに個人情報や機密情報が含まれていないかを確認します。含まれていれば、社内の利用ルールに従って仮の表現に置き換えます。
文字起こしは発言をそのまま拾うため、メモなら書かない取引先名や見積金額まで残ります。
発言の誤変換や欠落を可能な範囲で直す
文字起こしには誤変換や聞き取れなかった部分が含まれます。完璧に直す必要はなく、明らかな誤りだけでも直しておけば、AIが誤った内容をもとに要約することを防げます。
直す優先度が高いのは、固有名詞と数字です。特に日付と金額は、誤変換のまま要約されると議事録の内容そのものが変わります。
議題ごとに情報を分ける
複数の議題を扱った会議では、メモや文字起こしを議題ごとに分けておきます。混ざったまま渡すと議論の流れを把握しにくくなり、要約の精度が落ちます。
3議題なら、文字起こしに議題名の行を3か所入れるだけで足ります。1分ほどの手間です。
文字起こし自体を自動化するなら、専用のツールを使う方法もあります。NottaはWebブラウザやアプリで録音から文字起こし、要約までを行うサービスで、無料の「フリー」プランでは月120分(1回3分まで)使えます。有料の「プレミアム」は年払いで月あたり1,185円(年額14,220円・税込)です。
- 公式サイト:ミーティングのテキスト化【Notta】

対面の会議が多い場合は、Plaudのように専用デバイスで録音するタイプもあります。パソコンを開かずに録音できるため、その場で始まった打ち合わせにも向きます。
ただし、どちらを使う場合も録音したデータが外部のサーバーへ送られることは変わりません。前半で触れた社内の利用ルールを満たしているかを、導入前に必ず確認してください。アプリ型と端末型で料金や録音の仕組みがどう違うかは、NottaとPlaudを比較で確認できます。
AIで会議内容の要点をまとめる手順
会議の目的を添えて渡すと、拾う情報の優先順位が決まります。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。
あなたは会議記録の整理に慣れた担当者です。次の会議メモから要点をまとめてください。 ・会議の目的:ここに記載してください ・参加者:ここに記載してください ・出力:議題ごとに「議題/話し合われた内容/その場での結論」を書く ・条件:メモに書かれていないことは補わないでください。【以下、会議メモまたは文字起こしを記載してください】
※【 】の行は削除し、自分の情報に置き換えてから送信してください。
議題ごとの論点を短く整理する
議題ごとの論点を短くまとめさせます。発言をそのまま並べさせず論点の形にすると、後から読んでも把握できます。
18,000字の文字起こしが、3議題ぶんで600字程度に収まります。以降読み返すのは、この600字です。
結論に至った理由と重要な発言を分ける
議論の結論と、その結論に至った理由、重要な発言を分けて整理させます。結論だけの議事録では、なぜその結論なのかが後から追えません。
理由が効くのは、数週間後に同じ論点が挙がったときです。「前回この案を見送った理由」を追えれば、同じ議論を繰り返しません。
雑談や重複発言を除いて読みやすくする
会議の記録には本題と関係のない雑談や重複発言が含まれます。これらを除かせると、要点の明確な議事録になります。
決定事項と未決事項を分けて整理する方法
ここが最も間違いの起きる場所です。「その方向で進めましょうか」と問いかけで終わった発言が、決定事項として書かれることがあります。読んだ人は決まったものとして動き、翌週に「決めていない」と差し戻されます。
発言の形と議事録での扱いを、先に対応させておきます。
| 会議で出た発言の型 | 議事録での扱い | 書き方 |
|---|---|---|
| 「◯◯で進めます」と言い切った | 決定事項 | 決めた内容と決めた人を書く |
| 「◯◯の方向で進めましょうか」と問いかけで終わった | 未決事項 | 「合意なし」と書く |
| 反対意見が出たまま次の議題へ移った | 未決事項 | 論点と反対意見を残す |
| 「誰かが確認しておいて」で終わった | ToDo | 担当者未定と明記する |
| 期限が言葉で出た | ToDo | 期限を日付にして書く |
| 本題と関係のない雑談 | 載せない | 削る |
決定と保留を分けるよう指定すると、断定しすぎを防げます。この指定は、記事の終わりに置いた完成版プロンプトに条件として入れてあります。
合意した内容を決定事項として抽出する
会議で参加者が合意した内容を、決定事項として抽出させます。提案しただけの内容と合意された内容の区別が、ここでの要点です。
3議題なら決定事項は2件程度です。議題の数より多く出たときは、提案が決定として拾われています。
結論が出ていない論点を未決事項として残す
議論はしたが結論が出ていない論点は、未決事項として明確に残させます。あいまいにしておくと、後で「決まっていたはずのこと」として誤解されます。
次回確認が必要な事項を分ける
次回の会議で改めて確認が必要な事項は、決定事項・未決事項とは別に分けます。
次回のアジェンダは、この持ち越し事項がそのまま1項目目になります。
担当者と期限を含むToDoを抽出する方法
担当や期限が書かれていない項目を分けさせると、確認漏れが防げます。この指定も、完成版プロンプトに含めています。
実行する作業を具体的なタスクにする
会議で挙がった対応事項を、実行できるタスクの形に整理させます。「対応する」ではなく「〇〇を確認して△△に共有する」のように、行動が分かる形にします。
担当者が明示されたタスクを対応付ける
担当者が明確になっているタスクは、担当者名とあわせて整理させます。明示されていない場合はAIに推測させず、担当者未定として残させます。
60分の会議で出るToDoは4件前後で、うち1件ほどは担当者が決まらず終わります。この1件を目立たせるかどうかで、翌週までに手が付くかが変わります。
期限があるタスクを分かる形で整理する
期限が決まっているタスクは、期限とあわせて整理します。期限のあるものとないものが混在すると見落としが生まれるため、有無が一目で分かる形にします。
会議では「来週中に」「月末までに」の形で期限が出ます。議事録では日付に直します。読む人がカレンダーに置けるのは日付になってからです。
AIで作った議事録を共有前に確認するポイント
AIが作成した議事録は、共有する前に必ず内容を確認する工程を挟みます。文字起こし精度・要約・共有・安全性の比較観点は、AI議事録ツールの選び方で比較しています。
決定事項を元メモと照合する
議事録の決定事項を、元の会議メモや文字起こしと照合します。要約の過程で実際の発言とニュアンスが変わることがあるため、決定事項の確認は省略しません。
照合するのは決定事項の2件だけです。18,000字を読み直さず、その2件が文字起こしのどこに対応するかを探し、言い切りの形かを見ます。
照合の手間は、該当箇所をAIに並べさせると短くできます。正しいかを決めるのは人で、AIにはどこに書かれていたかを示させるだけにします。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。
あなたは会議記録の確認を手伝う担当者です。次の議事録の決定事項が、元の文字起こしのどこに対応するかを示してください。 ・議事録の決定事項:ここに貼り付けてください ・出力:決定事項ごとに、対応する発言を文字起こしからそのまま引用して並べる ・条件:引用だけを行い、正しいかどうかの判断はしないでください。対応する発言が見つからない項目は「該当箇所なし」と書いてください。【以下、元の会議メモまたは文字起こしを記載してください】
※【 】の行は削除し、自分の情報に置き換えてから送信してください。
「該当箇所なし」と返ってきた項目が、会議で決まっていないのに決定事項として書かれた1件です。
AIが推測した担当者や期限がないか確認する
担当者や期限について、会議中に明示されていない内容をAIが補っていないかを確認します。推測で書かれた担当者や期限は、そのまま業務の混乱になります。
見分け方は単純で、担当者未定のまとまりが空なら疑います。会議で全員の担当が決まりきることは少ないためです。
参加者が次の行動を判断できる形に整える
最後に、読んだ参加者が自分は次に何をすべきか判断できる形かを見ます。要点が整理されていても次の行動が分かりにくければ、共有前に直します。
議事録をまとめて作る完成版プロンプト
ここまでの工程を1本にまとめたプロンプトです。要点の整理、決定事項と未決事項の切り分け、ToDoの抽出を一度に指定するため、会議メモか文字起こしを貼って送れば、議事録の形で返ってきます。
ふだんはこれを使い、出力が想定と違った工程だけを前の章の工程別プロンプトで投げ直します。条件には、この記事で触れた注意を入れてあります。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。
あなたは会議記録の整理に慣れた担当者です。次の会議メモから議事録を作成してください。 ・会議名・日時・参加者:ここに記載してください ・会議の目的:ここに1文で記載してください ・出力1:議題ごとに「議題/話し合われた内容/その場での結論」を書く ・出力2:「決定したこと/保留になったこと/次回確認すること」の3つに分ける ・出力3:「やること/担当者/期限」を1行ずつ書く。期限は日付に直す ・条件1:メモに書かれていないことは補わないでください。 ・条件2:決定と読み取れない発言を決定事項に入れないでください。問いかけで終わっている発言は保留に入れてください。 ・条件3:担当者や期限が書かれていない項目は、担当者未定として別のまとまりに挙げてください。推測で埋めないでください。【以下、会議メモまたは文字起こしを記載してください】
※【 】の行は削除し、自分の情報に置き換えてから送信してください。
この1本で返ってきた議事録に前章の確認を通せば、共有できる状態になります。定例会議60分ぶんなら、AIへ渡して整形するのが5分、人が確認するのが10分です。
まとめ
AIで議事録を作るには、会議の基本情報とメモ・文字起こしを準備し、個人情報や機密情報の扱いを確認してから渡します。要点整理では論点と結論理由を分け、決定事項・未決事項・次回確認事項を区別し、ToDoでは担当者と期限をあいまいにしないことがポイントです。
この記事で追いかけた定例会議では、18,000字の文字起こしが600字の要点になり、決定事項2件・未決事項1件・次回確認1件・ToDo4件(うち担当者未定1件)にまとまります。時間はAIへ渡して整形する5分と、人が照合する10分の合計15分です。45分との差は、文字起こしを読み返す工程がなくなったぶんです。
作成した議事録は、決定事項の照合と推測による誤りの確認を行い、参加者が次の行動を判断できる形に整えてから共有してください。AIによる業務改善の全体像は、AIで業務改善する方法で解説しています。
よくある質問
Q. 文字起こしの精度が低い場合でも議事録を作れますか。
明らかな誤りだけでも直してから渡せば、精度の高い議事録に近づけられます。優先度が高いのは固有名詞と数字で、特に日付と金額は誤変換のまま要約されると内容が変わります。不明な箇所は無理に補わず「聞き取れず」として残します。
Q. 担当者が会議中に決まらなかったタスクはどう扱えばよいですか。
担当者未定のタスクとして区別して残し、AIに推測させないでください。60分の会議なら1件ほどは担当者が決まらずに終わるため、この区分が空の議事録は、AIが補った可能性を疑います。