Microsoft Copilotを会社から使えるようになったものの、実際にどの業務で使えばよいのか分からず、結局いつもの方法で作業を続けているという人は少なくありません。Word・Excel・PowerPoint・Teamsのどれから試すべきか、判断材料がないまま触らずにいるケースも多いはずです。
この記事では、Microsoft Copilotを使う前に確認しておきたいことから、Word・Excel・PowerPoint・Teamsそれぞれでの具体的な活用場面、そして実務に導入していくための手順までを順番に解説します。読み終える頃には、自分の業務のどこから試せばよいかが判断できる状態になります。
話を具体的にするため、この記事では一つの仕事を最後まで追いかけます。題材は「四半期の部門報告を作って、部門会議で報告する」です。報告書の作成に毎回90分、そこからスライドを作るのに60分かかっている、という想定で読み進めてください。
アプリごとに、この題材でどこに効くかは次のとおりです。
| アプリ | 題材で使う場面 | 変化 |
|---|---|---|
| Word | 四半期報告書の下書き | 90分が60分(構成30分+下書きを直す30分) |
| Excel | 12か月×6拠点の売上表の傾向確認 | 見るべき箇所の当たりがつく |
| PowerPoint | 報告書2枚からスライド8枚の叩き台 | 60分が25分 |
| Teams | 部門会議の決定事項と持ち帰りの整理 | 決定2件・持ち帰り1件に整理 |
Microsoft Copilotを仕事で使う前に確認すること
Copilotを業務に取り入れる前に、まず自分の利用環境と使い方の前提を整理しておくと、迷いなく試し始められます。
利用できるMicrosoft 365環境とCopilotの範囲を確認する
Copilotは、契約しているMicrosoft 365のプランによって使える範囲が異なります。会社から付与されたライセンスがCopilotに対応しているか、Word・Excel・PowerPoint・Teamsのどのアプリで利用できるかを、まず社内の管理者や契約情報で確認しましょう。対応範囲が分からないまま試そうとすると、機能が表示されずに戸惑う原因になります。どのプランにCopilotを追加できるかは、Microsoftのライセンスオプションの一覧で確認できます。
効率化したい業務と扱う情報を整理する
次に、自分の業務の中でどの作業に時間がかかっているかを洗い出します。文書作成なのか、表計算なのか、資料作成なのか、会議対応なのかによって、試すべきアプリが変わります。あわせて、Copilotに読み込ませる情報に社外秘や個人情報が含まれていないかも確認し、扱ってよい情報の範囲を先に決めておくことが大切です。
題材では、報告書の作成90分とスライド作成60分で合計2時間半が四半期ごとにかかります。扱うのは自部門の売上表と前期の報告書で、社外へ出す資料ではないため、この題材では伏せる作業は発生しません。顧客名が入る資料を扱う場合はここで線を引きます。
生成結果を人が確認する前提を決める
Copilotが作成した文章や分析結果は、そのまま使うのではなく、必ず人が内容を確認する前提で運用します。誤った情報や不自然な表現が含まれる可能性があるため、事実確認や社内ルールとの整合性を見る担当者を決めておくと、安心して使い続けられます。
WordでCopilotを使う活用場面
Wordでは、文書作成の初期段階から仕上げまで、複数の場面でCopilotを活用できます。
元になる材料と用途を伝えると、意図に沿った下書きが返ってきます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。
次の情報をもとに、社内向けの文書の下書きを作成してください。
・文書の種類:四半期の部門報告書
・読み手:部門長と他部門のマネージャー
・盛り込む内容:売上の実績と前期からの変化、達成できなかった項目とその要因、来期に向けた課題
・想定する長さ:A4で2枚
・条件:渡した内容だけを使い、記載のない事実は追加しないでください。数値は渡した売上表の値だけを使ってください。
文書の下書きを作成する
企画書や報告書など、ゼロから文章を書き起こす作業は時間がかかります。Copilotに目的や盛り込みたい要点を伝えると、たたき台となる文章を生成できます。ここで作られる文章はあくまで下書きであり、事実関係や数値は自分で確認したうえで使う必要があります。
題材ではここが出発点です。90分の内訳は、構成を考えるのに30分、文章を書くのに45分、見直しに15分です。Copilotに渡せるのは文章を書く45分の部分で、構成を考える30分は材料をどう渡すかという形で自分の仕事として残ります。
既存文書を要約して要点を整理する
長い契約書や報告書の内容を短時間で把握したいときは、Copilotに要約を依頼できます。全文を読み込む前に要点をつかんでおくことで、その後の確認作業を効率よく進められます。
題材で要約するのは前期の報告書です。前期に課題として挙げた項目が今期どうなったかを書く必要があるため、前期の課題だけを先に抜き出します。
文書の表現や構成を修正する
書き上げた文章の言い回しが分かりにくい、構成の順序を整理したいといった場合にも活用できます。Copilotに修正の方向性を伝えることで、文章の流れを見直す手間を減らせます。
ExcelでCopilotを使う活用場面
Excelでは、数値データの理解や分析の準備段階でCopilotが役立ちます。表作成から関数、分析までの具体的な手順はMicrosoft CopilotでExcelを使う方法で解説しています。
表データの傾向や特徴を確認する
行数の多い売上表や在庫表を前にすると、どこから確認すればよいか迷うことがあります。そのようなときにCopilotへ傾向や特徴的な部分を尋ねると、確認すべき箇所の見当をつけやすくなります。
題材の売上表は12か月×6拠点です。報告書に書くべき変化がどこにあるかを先に当たりをつけてから、自分で数字を確認します。
集計や分析の切り口を整理する
売上や進捗などのデータをどの軸で集計すればよいか迷う場合、Copilotに分析の切り口を相談できます。自分では思いつかなかった集計方法のヒントを得られることもあります。
数値から確認すべきポイントを見つける
数値の変化や異常値など、注意して見るべきポイントをCopilotに洗い出してもらうことで、確認漏れを減らせます。最終的な判断は、洗い出された内容を自分の目で確かめたうえで行います。
ここが最も間違いの起きる場所です。題材では、傾向の説明の中に「前年同期比で業界平均は数%の伸び」という一文が入ってきます。渡した売上表に業界平均は1列も入っていません。報告書にこの一文が残ると、出どころを問われた時点で答えられません。渡していない数値が混ざるのは、空いている比較軸をCopilotが埋めるためです。
PowerPointでCopilotを使う活用場面
PowerPointでは、資料の構成段階から見直しまで幅広く活用できます。構成案づくりからスライド生成、デザイン調整までの手順はMicrosoft CopilotでPowerPointを作る方法で解説しています。
プレゼンの構成案を作る
伝えたい内容はあるものの、スライドの流れが決まらないときは、Copilotに構成案を作成してもらえます。全体の骨組みができていると、その後のスライド作成がスムーズに進みます。
文書情報からスライド案を作る
Wordで作成した報告書や企画書の内容をもとに、スライドの叩き台を作成することもできます。文書として整理した情報を資料形式に変換する作業を短縮できます。
題材ではここが効きます。A4で2枚の報告書から、8枚のスライドの叩き台が出ます。ゼロから作る60分が、叩き台を直す25分になります。文書が整っているほど、変換の精度は上がります。
既存資料の内容を整理して改善する
すでにある資料の情報量が多すぎる、要点が分かりにくいといった場合には、Copilotに整理を依頼できます。伝えたい内容を絞り込む際の参考になります。
TeamsでCopilotを使う活用場面
Teamsでは、会議に関する情報整理でCopilotを活用できます。
会議のどこを知りたいかを指定すると、必要な部分だけ取り出せます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。
この会議の内容から、次の3点を整理してください。
・決まったこと
・持ち帰りになったこと
・誰が何をいつまでに行うか
・条件:発言がなかった項目は「言及なし」と書いてください。推測で補わないでください。担当者が指名されていないものは「担当未定」と書いてください。
会議内容の要点を把握する
1時間の会議を後から振り返るために録画や記録を最初から見直すのは手間がかかります。そのような場面でCopilotに要点をまとめてもらうと、話し合われた内容を短時間で把握できます。
決定事項と対応事項を整理する
会議で決まったことと、誰が何を対応するのかが曖昧なまま終わることもあります。Copilotに決定事項と対応事項を整理してもらうことで、認識のずれを防ぎやすくなります。
題材の部門会議で出るのは、来期の課題についての指摘です。決定2件と持ち帰り1件に整理され、持ち帰りは担当未定のまま残ります。この1件を目立たせておくと、次の四半期の報告書で書くことが決まります。
会議後に必要な情報を確認する
会議で出た質問や保留事項など、会議後に確認すべき内容を洗い出す際にも活用できます。抜け漏れを防ぎながら、次のアクションにつなげやすくなります。
Microsoft Copilotを実務へ導入する手順
ここまでの活用場面を踏まえ、実際に自分の業務へ取り入れていく手順を整理します。
選んだ作業を伝えて、従来の手順との比較の観点を出させます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。
次の作業をCopilotで行う場合と、これまでのやり方で行う場合を比べる観点を挙げてください。
・対象の作業:四半期の部門報告書の作成
・その作業にかかっている時間:90分(構成30分・執筆45分・見直し15分)
・成果物の用途:部門会議での報告資料のもとになる文書
・出力:「比べる観点/確かめ方」を1行ずつ書く
・条件:どちらが優れているかの結論は不要です。渡していない時間を推測で足さないでください。
日常的に時間がかかる作業を一つ選ぶ
最初からすべての業務に導入しようとせず、日常的に時間がかかっている作業を一つだけ選びます。文書作成、表の確認、資料作成、会議の振り返りの中から、負担を感じている作業を選ぶと効果を実感しやすくなります。
題材が報告書の作成を選ぶ理由は、四半期ごとに必ず発生し、所要時間を測っているからです。頻度が低くても、時間が測れている作業は比較ができます。
Copilotの出力と従来の作業結果を比較する
選んだ作業でCopilotを使ってみて、これまで自分で行っていた作業結果と比較します。精度や時間の面でどの程度違いがあるかを確認することで、実務での使いどころが見えてきます。
比較するのは時間だけにしません。題材では「渡していない数値が混ざった回数」も数えます。時間が半分になっても、確認の手間がそれ以上に増えるなら使いどころが違います。
効果と確認負担を見て利用範囲を広げる
比較した結果、作業時間の短縮や質の向上を感じられた場合は、他の業務にも少しずつ利用範囲を広げます。一方で、確認作業の負担がかえって増えるようであれば、使う場面を絞り込むことも大切です。
まとめ
Microsoft Copilotは、Word・Excel・PowerPoint・Teamsのそれぞれで異なる役割を果たします。文書の下書きや要約、表データの傾向把握、資料の構成案作成、会議内容の整理など、日常業務のさまざまな場面で活用できます。
この記事で追いかけた部門報告は、報告書90分とスライド60分の合計2時間半が、1時間25分になります。内訳は、構成を考える30分、下書きを直す30分、スライドの叩き台を直す25分です。短縮できたのは文章とスライドを一から作る部分で、構成を考える30分は残ります。会議後の整理では、持ち帰り1件が担当未定のまま残り、それが次の四半期に書くことになります。
大切なのは、いきなり全業務に導入しようとせず、まず自分が時間をかけている作業を一つ選んで試すことです。従来のやり方と比較しながら効果を確認し、無理のない範囲で利用場面を広げていくことで、Copilotを実務に無理なく定着させられます。
持ち帰れることは2つです。ひとつは渡していない比較軸を埋めさせないこと。業界平均のような数値は、空いている欄があるとそこに入ります。もうひとつは時間と確認の手間を両方数えること。時間が半分になっても確認が倍になれば、使いどころが違います。
なお、そもそもCopilotが自社に合うかを他のツールと比べて判断したい場合は、会社で使う生成AIツールの選び方を確認してください。