新しい市場やテーマについて調べようとしたものの、何から手をつければよいのか分からず、断片的な情報を集めるだけで終わってしまう、という経験はないでしょうか。調査の切り口が定まっていないと、時間をかけて調べても結論に必要な情報が揃わないことがあります。
この記事では、生成AIで市場調査をする前に決めておきたい調査目的から、答えたい問いの分解方法、調査項目と仮説の整理、確認すべき情報源の選び方、情報を集めて市場動向を整理する方法、仮説と収集した事実の照合、そして調査結果と未確認事項の整理方法までを順番に解説します。読み終える頃には、生成AIを使って根拠のある市場調査を組み立てられる状態になります。
目次
生成AIで市場調査をする前に調査目的を決める
生成AIに調査を依頼する前に、この調査で何を明らかにしたいのかを決めておきます。
調査結果を使う意思決定を明確にする
まず、調査結果を最終的にどの意思決定に使うのかを明確にします。目的が定まっていないと、後で集める情報の範囲や深さの判断がぶれてしまいます。
対象市場と調査範囲を定義する
調査の対象となる市場と、調べる範囲を定義します。ここが曖昧なまま調査を始めると、関連する情報が際限なく広がり、まとめきれなくなってしまいます。
調査する期間や地域を決める
調査の対象とする期間や地域を決めます。期間や地域が定まっていないと、集めた情報同士を比較する際に前提がそろわなくなります。
市場調査で答えたい問いを分解する方法
調査目的が定まったら、その目的を具体的な問いへ分解します。
最終的に決めたいことを渡すと、問いの階層に分けてもらえます。
あなたは市場調査の経験がある担当者です。次の意思決定のために答えるべき問いを分解してください。・最終的に決めたいこと:〇〇 ・対象とする市場や顧客層:〇〇 ・判断の期限:〇〇出力は「答えるべき問い/その答えが判断にどう効くか」を1行ずつ書いてください。期限内に確かめられない問いは分けて挙げてください。
調査対象者から直接情報を集める場合は、ChatGPTでアンケート設問を作る方法|目的から質問・選択肢・回答形式を整理で質問の作り方を確認できます。
市場規模・顧客・競争など論点を分ける
市場規模、顧客のニーズ、競争環境など、確認すべき論点を分けて整理します。論点を分けずに調査を進めると、情報が混在し、後から整理し直す手間が発生します。
一つの問いを確認可能な小さな問いへ分ける
大きな問いを、実際に確認できる小さな問いへ分解します。生成AIに大きな問いを伝えたうえで分解を依頼すると、自分だけでは気づきにくい切り口を見つけやすくなります。
優先して答える問いを決める
分解した問いの中から、優先して答えるべきものを決めます。すべての問いに同じ時間をかけようとすると、重要な論点の検討が浅くなってしまいます。
生成AIで調査項目と仮説を整理する方法
問いが整理できたら、生成AIを使って調査項目と仮説を整理します。
問いを渡すと、調べる項目と現時点の仮説を分けて整理してもらえます。
あなたは市場調査の経験がある担当者です。次の問いについて、調査項目と現時点の仮説を整理してください。・答えるべき問い:〇〇 ・すでに分かっていること:〇〇出力は問いごとに「調べる項目/立てられる仮説/その仮説の根拠」を書いてください。根拠がない仮説は「根拠なし」と明記してください。
現時点で想定している仮説を書き出す
調査を始める前の時点で、自分たちが想定している仮説を書き出します。仮説を明確にしておくことで、後で集めた情報がその仮説を支持するのか、反するのかを判断しやすくなります。
仮説を検証するための調査項目を作る
書き出した仮説を検証するために、どのような情報を確認すればよいのか調査項目を作ります。仮説と調査項目が結びついていないと、情報を集めても仮説の検証に使えないことがあります。
生成AIに不足する観点を洗い出させる
自分たちが立てた仮説や調査項目に、不足している観点がないかを生成AIに確認してもらいます。第三者的な視点で観点を補うことで、思い込みによる調査の偏りに気づけることがあります。
確認すべき情報源を選ぶ方法
調査項目が整理できたら、実際に確認する情報源を選びます。
官公庁・企業・業界団体など一次情報を優先する
官公庁の統計、企業の公表資料、業界団体のレポートなど、一次情報を優先して選びます。伝聞情報や要約記事だけに頼ると、元の数値や条件が抜け落ちていることがあります。
情報源ごとに確認できる内容を分ける
情報源ごとに、そこから確認できる内容の種類を分けて整理します。この特性を把握しておくことで、どの論点をどこで確認すればよいかを判断しやすくなります。
発行日と調査条件を確認する
情報源の発行日と、調査が行われた条件を確認します。発行日や調査条件が分からない情報は、現在の状況を正しく反映しているかどうかの判断が難しくなります。
情報を集めて市場動向を整理する方法
情報源が決まったら、実際に情報を集めて市場動向を整理します。
情報を調査項目ごとに分類する
集めた情報を、あらかじめ決めた調査項目ごとに分類します。分類せずに情報を蓄積すると、後から必要な情報を探し出すのに時間がかかってしまいます。
複数の情報源で傾向が一致するか確認する
同じ論点について、複数の情報源で傾向が一致しているかを確認します。一つの情報源だけに頼ると、その情報源特有の偏りに気づけないことがあります。
時系列の変化と現在の状態を分けて整理する
市場の時系列の変化と、現時点での状態を分けて整理します。両者を混在させたまま扱うと、過去の傾向と現在の状況を取り違えてしまうことがあります。
仮説と収集した事実を照合する方法
情報が整理できたら、最初に立てた仮説と収集した事実を照合します。
集めた事実を渡して、仮説を支持するか否かを分けさせます。
あなたは市場調査の経験がある担当者です。次の仮説と収集した事実を照合してください。・仮説:〇〇 ・収集した事実と出どころ:〇〇出力は「仮説を支持する事実/支持しない事実/どちらとも言えない事実」に分けてください。事実が足りない仮説は「判断できない」と書いてください。
仮説を支持する事実と反する事実を分ける
集めた事実を、仮説を支持するものと、仮説に反するものに分けます。都合の良い情報だけを選んで仮説を支持させると、実態と異なる結論を導いてしまう原因になります。
根拠が不足する仮説を保留する
十分な根拠が集まらなかった仮説は、結論を出さずに保留します。根拠が不足したまま仮説を採用すると、後から前提が崩れて調査全体の信頼性が下がってしまいます。
新たに確認すべき問いを見つける
事実との照合を通じて、新たに確認すべき問いが出てきていないかを見つけます。調査は一度で完結するものではなく、照合の過程で見えてきた疑問を次の確認につなげることが大切です。
市場調査の結果と未確認事項を整理する方法
照合まで終えたら、調査結果と未確認事項を分けて整理します。
確認できた事実を調査目的に沿ってまとめる
確認できた事実を、最初に決めた調査目的に沿って整理します。集めた情報を羅列するだけでなく、目的に照らして意味づけすることで、調査結果を活用しやすくなります。
推測や未確認情報を明示する
確認が取れていない推測や未確認の情報は、その旨を明示したうえで残します。確認済みの事実と推測を区別しておくことで、調査結果を使う人が誤って判断する事態を防げます。
次に追加調査する項目を決める
今回の調査で明らかにしきれなかった項目について、次に追加調査する項目として決めておきます。未確認事項を放置せずに次の調査へつなげることで、市場理解を継続的に深めていけます。
まとめ
生成AIで市場調査をする際は、調査目的を明確にしたうえで、問いを分解し、調査項目と仮説を整理することが大切です。信頼できる情報源から情報を集めて仮説と照合し、確認できた事実と未確認事項を分けて整理することで、次の判断に活用できる市場調査に仕上げられます。
まずは今回の調査結果をどの意思決定に使いたいのか、目的を一文で書き出すところから始めてみてください。 生成AIを使ったリサーチ全体の進め方は、生成AIでリサーチを効率化する方法で解説しています。