社内企画書を作ろうとしても、目的、課題、施策、期待効果をどう筋道立てて整理すればよいか分からず、手が止まることがあります。この記事では、ChatGPTを使って社内企画書を作る方法を解説します。作る前の情報整理から、意思決定者の判断条件、現状と課題、施策の組み立て、期待効果、構成と初稿、提出前の確認まで順に紹介します。
社内企画書は、意思決定者が判断しやすい形に整理されていることが重要です。ChatGPTに任せる部分と自分で判断する部分を分けながら進めましょう。
手順が抽象的にならないよう、この記事では一つの企画書を最後まで作り上げます。題材は「新人研修の共通部分を動画教材に切り替える企画を、人事部長へ出す」です。営業部とカスタマーサポート部の2部署が対象で、来期4月の新人受け入れまでに決めたい、という想定で読み進めてください。
ChatGPTで社内企画書を作る前に整理する情報
企画書の作成を依頼する前に、いくつかの情報を整理しておく必要があります。
企画で実現したい状態を明確にする
その企画で最終的にどのような状態を実現したいのかを明確にします。「業務を改善したい」ではなく「〇〇業務にかかる時間を削減したい」のように具体的な状態を言葉にすると、後の整理がぶれません。
題材では「新人1人あたりの研修で、先輩社員が説明に使う時間を減らす」と書きます。「研修を効率化する」では企画書になりません。誰の時間が減るのかを書いておくと、効果の計算にそのままつながります。
対象部門・期限・予算など前提条件を整理する
企画の対象となる部門、実施したい期限、想定する予算といった前提条件を整理します。これらの前提条件が明確であるほど、後で組み立てる施策も現実的な内容になります。
題材の前提は、対象が営業部とカスタマーサポート部の2部署、期限は来期4月の新人受け入れまで、予算は30万円以内です。逆算すると、撮影と編集に使えるのは実質2か月です。前提を先に置くと、施策の規模が決まります。
利用できる事実や社内資料を準備する
企画書の根拠として使える事実や、参照できる社内資料を準備します。手元にある情報を先に整理しておくことで、ChatGPTが根拠のない内容を補ってしまうことを防ぎやすくなります。
用意できたのは、昨年の研修スケジュール表と、担当者への聞き取りメモです。ここから「新人1人あたり、説明に使われた時間は延べ18時間」という数字が出ます。この18時間が企画書の土台になる実測値です。
社内の意思決定者と判断条件をChatGPTへ伝える方法
企画書は、それを判断する意思決定者に向けて作る文書です。誰にどう判断してもらうかを、ChatGPTへ伝える工程を確認します。
社内の誰が企画を判断・承認するかを伝える
その企画を最終的に誰が判断し、承認するのかをChatGPTに伝えます。判断する立場や役職によって、重視するポイントや必要な説明の詳しさが変わるため、この情報は企画書全体の構成に影響します。
題材の決裁者は人事部長です。伝えないと、一般的な企画書の型で書いてきます。誰に向けて書くかで、前面に出すものが変わります。
意思決定者が重視する条件を示す
意思決定者が普段重視している条件、例えばコストなのか、実現のしやすさなのか、効果の大きさなのかを示します。重視する条件をあらかじめ伝えておくことで、その条件に沿った説得材料を含めた企画書を組み立てやすくなります。
この工程を飛ばすと、企画書が的を外します。条件を伝えずに書かせると、コスト削減を前面に出した構成が返ります。18時間が11時間になる、人件費でいくら、という流れです。
ところが部長が気にしていたのは費用ではありません。過去に別の部署で同様の効率化を進めた際、現場から「先輩が新人に教える機会を奪うのか」という反発が出たためです。判断を左右するのは、コストではなく現場の受け止め方です。
これを伝えると構成が変わります。動画化するのは共通部分だけで、部署固有の説明と新人との対話はむしろ増える、という説明が前に出ます。
既存方針や社内ルールなど動かせない条件を伝える
既存の会社の方針や、変更できない社内ルールがある場合は、その内容を伝えます。動かせない条件を踏まえずに企画を組み立てると、実現性の低い内容になってしまうため、この情報は早い段階で共有しておきます。
動かせない条件は2つです。研修の総時間は労務管理上減らせないこと、顧客情報を含む画面は撮影できないこと。2つ目が施策の形を決めます。撮影できない部分が残るため、全面的な動画化は選択肢に入りません。
現状と課題を整理して社内企画の論点を作る方法
企画の土台となる、現状と課題の整理を行います。
現状の事実と困りごとを分ける
現状について、客観的な事実の部分と、困っていることの部分を分けて整理します。事実と感想が混在していると、後で課題の原因を分析する際に、判断がぶれやすくなります。
題材の聞き取りメモを分けると、次のようになります。
| 事実(資料で確認できる) | 困りごと(聞き取りで出た) |
|---|---|
| 新人1人あたり延べ18時間 | 同じ説明を毎年繰り返している |
| 説明担当は各部署3名 | 担当者によって説明の内容に差がある |
| 共通部分は約7時間 | 繁忙期と重なると時間が取れない |
左の列だけが、企画書に数字として書ける内容です。右の列は課題の説明に使います。
仕分けそのものも任せられます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。
次のメモを2つに仕分けてください。
・A:資料で確認できる事実(数字・日付・人数)
・B:聞き取りで出た困りごと(主観を含む)
・条件1:どちらか判断できないものはCとして残し、何を確認すればAになるかを1行で書いてください
・条件2:Bの内容を、Aのような断定の表現に言い換えないでください
【以下、追加したい内容を記載してください】
※【 】の行は削除し、自分の情報に置き換えてから送信してください。
課題の原因と業務への影響を整理する
整理した困りごとについて、その原因と、業務にどのような影響を与えているのかを整理します。原因と影響を明確にすることで、後述する施策が、課題に対して的確に対応しているかを判断しやすくなります。
題材の原因は「部署ごとに研修を組むため、会社共通の説明が重複している」ことです。影響は、各部署3名ずつ計6名の時間が毎年同じ内容に使われ、繁忙期には研修が後ろ倒しになる点です。原因を一文で書けないなら、課題の整理が終わっていません。
社内で優先して解決すべき課題を絞る
複数の課題が見つかった場合は、その中から優先して解決すべき課題を絞り込みます。すべての課題を一つの企画で解決しようとすると、内容が散漫になりやすいため、焦点を絞ることを意識します。
題材では「説明の内容に担当者差がある」も課題ですが、今回は扱いません。18時間のうち共通部分の7時間に絞ります。絞った課題は消さずに、企画書の最後に「今回の対象外」として1行残します。
課題に対応する施策と実施方法を組み立てる方法
課題が整理できたら、その課題に対応する具体的な施策を組み立てます。
企画の選択肢を広げてから絞り込む場合は、ChatGPTでアイデア出しをする方法|会議・企画の発想を広げて絞り込むの進め方も参考になります。
課題に対応する施策を具体化する
絞り込んだ課題に対して、どのような施策が対応策になるのかを具体化します。課題と施策のつながりが明確であるほど、意思決定者にとって納得感のある企画書になります。
題材の施策は「共通部分の7時間分を動画にして、配属前に視聴してもらう」です。対象を7時間と明示します。「研修を動画化する」と書くと、撮影できない部分まで含むように読まれます。
実施手順と担当部門を整理する
施策を実際にどのような手順で進めるのか、どの部門が担当するのかを整理します。実施のイメージが具体的であるほど、企画の実現性に対する説得力が増します。
題材では、洗い出しと更新を人事部、撮影と編集を外部業者に割り当てます。
手順への割り当ては次の依頼文で下案を出せます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。
次の施策について、実施手順を時系列で並べ、各工程に担当を割り当ててください。
・施策:新人研修の共通部分7時間分を動画化し、配属前に視聴してもらう
・使える部門:人事部、外部業者
・期限:来期4月の新人受け入れまで
・条件1:担当を決められない工程は「担当未定」と書き、空欄にしないでください
・条件2:各工程に、終わったと判断できる条件を1行で付けてください
「誰がやるか」が空欄の工程を残さないことが大事です。空欄があると、部長は「結局あなたがやるのか」と確認することになり、その場で決まりません。
実施条件や制約を明確にする
施策を実施するうえでの条件や、想定される制約を明確にします。制約を隠さずに示しておくことで、企画書全体の信頼性が高まり、意思決定者も判断しやすくなります。
題材の制約は、顧客情報を含む画面が撮影できないことと、内容が変わったら撮り直しが要ることの2つです。制約は隠しても、後の質疑で出てきます。
社内で判断しやすい期待効果と説得材料を整理する方法
施策を実施した結果、どのような効果が期待できるのかを整理します。
費用・効果・リスクを承認者へ示す文書にまとめる場合は、ChatGPTで稟議書を作る方法|目的・費用・効果・リスクを整理も参考になります。
定量・定性の期待効果を分ける
期待効果を、数値で示せる定量的な効果と、数値化しにくい定性的な効果に分けて整理します。両方の観点を示すことで、意思決定者がさまざまな角度から企画を評価しやすくなります。
整理結果です。
| 区分 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 定量 | 先輩社員の説明時間が18時間から11時間へ | 昨年の研修スケジュール表 |
| 定性 | 説明の内容が全部署でそろう | 同じ動画を視聴するため |
| 定性 | 新人が配属前に予習できる | 視聴時期を前倒しするため |
根拠の列を空欄のまま出さないのが、この表の目的です。埋められない行は企画書に載せません。
費用・工数・リスクを整理する
施策の実施にかかる費用、必要な工数、想定されるリスクを整理します。効果だけでなく、実施に伴うコストやリスクもあわせて示すことで、バランスの取れた企画書になります。
費用は外部業者への委託費で、30万円以内に収まる見込みです。工数は人事部の洗い出しに約20時間。リスクは制度変更の年に撮り直しが発生することで、ここは正直に書きます。
社内判断の根拠として使える事実だけを採用する
期待効果や説得材料としてまとめる内容は、根拠として確認できる事実だけを採用します。ChatGPTが提示する効果の見込みの中に、根拠のない推測が含まれていないかを確認し、確認できない内容は企画書に含めないようにします。
題材で実際に混ざってきたのが、次の一文です。
動画教材の導入により、研修工数は一般に30〜50%削減されるとされています。
自社の実測値として18時間という数字を渡しているのに、一般論の削減率が別の根拠として入ってきます。これを載せると、部長から「その30〜50%はどこの数字か」と聞かれて答えられません。
依頼時に次の一文を入れておくと防げます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。
効果の数値は、私が渡した資料に書かれている数字だけを使ってください。一般的な相場や他社事例の数値を補わないでください。根拠がない箇所は「根拠なし・要確認」と書いてください。
社内企画書の構成と初稿をChatGPTで作る手順
ここまでの情報が整理できたら、実際に企画書の構成と初稿を作成します。
目的・課題・施策・効果の順に構成する
企画書は、目的、課題、施策、期待効果の順に構成させます。この順番だと、読み手が流れを追いながら企画の妥当性を判断できます。
題材では、この4つの前に決裁者の懸念に触れる一段落を置きます。「現場が教える機会を減らす企画ではない」という説明です。相手の懸念が分かっているなら、最初に外しておくと本題が読まれます。
各章の要点を先に出して初稿を作る
いきなり文章として書かせるのではなく、まず各章の要点を箇条書きで出させ、それをもとに初稿を作らせます。構成の問題を早い段階で見つけられるので、後の手戻りが減ります。
以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。
社内企画書の要点を、章ごとに箇条書きで出してください。
・決裁者:人事部長(現場の反発が出ないかを最も重視)
・目的:新人研修で先輩社員が説明に使う時間を減らす
・対象:営業部とカスタマーサポート部、来期4月まで、予算30万円以内
・使える事実:新人1人あたり延べ18時間(うち共通部分7時間)
・動かせない条件:研修の総時間は減らせない/顧客情報を含む画面は撮影不可
・条件:渡した事実だけを使い、一般的な相場や他社事例を補わないでください。まだ文章にせず、章ごとの要点だけを出してください。
「まだ文章にしないでください」の一文を入れます。入れないと要点と一緒に本文まで書き始め、構成の修正に手戻りが出ます。
初稿を書かせる依頼文は、次の項で分量を決めたあとに出します。
意思決定者に合わせて長さを調整する
企画書の長さは、意思決定者が普段確認している分量に合わせます。詳細な資料を好む人と、要点だけを簡潔に見たい人で、必要な形が違います。企画書の内容をそのままプレゼン資料へ展開する場合は、ChatGPTでPowerPointの構成案を作る方法で構成の作り方を解説しています。
題材の部長は、過去の稟議をA4で1枚にまとめて回す人だとします。同じ分量に合わせます。
要点を確認して直したら、それを渡して初稿を書かせます。分量の指定はここで入れます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。
次の要点をもとに、社内企画書の初稿を書いてください。
・構成:決裁者の懸念に触れる一段落/目的/課題/施策/期待効果の順
・決裁者:人事部長(現場の反発が出ないかを最も重視)
・分量:A4で1枚に収まる長さ
・条件1:渡した要点と事実だけを使い、一般的な相場や他社事例を補わないでください
・条件2:要点に根拠のない記述は書かず、必要な場合は「要確認」と明記してください
【以下、確認後の要点を記載してください】
※【 】の行は削除し、自分の情報に置き換えてから送信してください。
社内へ提出する前の確認ポイント
ChatGPTが作成した企画書は、提出前に必ず確認する工程を挟みます。
事実と生成AIの推測を分ける
企画書の内容が、確認できる事実なのか、ChatGPTの推測なのかを見分けます。推測が事実であるかのように書かれていないか、全体を通して確認します。
数字が書かれた文をすべて拾い、根拠を1つずつ言えるか確かめます。これも出させられます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。
次の企画書に出てくる数字をすべて拾い、表にしてください。
・列:数字/本文中のどこに書かれているか/根拠として渡された資料
・条件:私が渡していない数字は、根拠の欄に「渡されていない」と書いてください。推測で埋めないでください。
【以下、追加したい内容を記載してください】
※【 】の行は削除し、自分の情報に置き換えてから送信してください。
資料から直接取れるのは18時間・7時間・30万円の3つ、11時間はその引き算、20時間は人事部の見積もりです。これ以外が出てきたら、渡していない情報が混ざっています。
数字や引用の根拠を確認する
企画書の数値や他資料からの引用は、根拠を元の資料と照合します。あいまいなまま提出すると、意思決定者の質問に答えられません。
照合するのは元の資料そのものです。題材なら研修スケジュール表を開き、18時間がその表から計算できるかを見ます。聞き取りメモの数字は、この照合を通りません。
社内で実行可能な企画になっているか確認する
最後に、その企画が社内で実行できる内容になっているかを確認します。前提条件や制約を踏まえて現実的かを、提出前に自分の目で見直します。
確認するのは、2か月で撮影と編集が終わるか、人事部が20時間を出せる時期かの2点です。前提条件が施策の中で守られているかを突き合わせます。予算30万円と書いて見積もりが35万円なら、その一点で差し戻されます。
まとめ
ChatGPTで社内企画書を作るには、実現したい状態、前提条件、利用できる事実を整理し、意思決定者が誰で何を重視するのかを伝えることが出発点になります。現状と課題を事実と感想に分けて整理し、課題に対応する施策と実施条件を具体化したうえで、定量・定性の期待効果と費用・リスクをバランスよくまとめます。目的・課題・施策・効果の順で構成した初稿を作成したら、事実と推測の区別、数字や引用の根拠確認、実行可能性の確認を行ってから、社内へ提出してください。業務文書づくり全体の流れは、AIで業務文書・社内資料を作る方法で解説しています。
冒頭の題材は、A4で1枚にまとまります。決裁者の懸念に触れる一段落、18時間から11時間という定量効果、定性効果2つ、費用と工数とリスク、そして「担当者差の解消は今回の対象外」という1行です。載った数字は、資料から取れる18時間・7時間・30万円、引き算で出る11時間、人事部が見積もった20時間の5つだけにします。
この題材から持ち帰れることは2つです。ひとつは、意思決定者が何を重視しているかを先に伝えること。伝えずに書かせるとコスト削減を前面に出した構成が返り、部長の懸念には一言も触れない企画書になります。
もうひとつは、指示文に「渡した資料の数字だけを使い、一般的な相場を補わない」を入れることです。自社の実測値を渡していても、「一般に30〜50%削減される」といった他社の相場が混ざります。出どころを聞かれた時点で答えられなくなります。
よくある質問
Q. 課題が複数あって一つに絞り込めません。どうすればよいですか。
すべての課題を一つの企画に盛り込むのではなく、業務への影響が大きい課題から優先順位を付け、まずは一つか二つに絞って企画化することをおすすめします。
Q. 期待効果の数値に自信が持てません。どう扱えばよいですか。
根拠のない数値をそのまま使うのではなく、確認できる事実に基づく範囲でのみ数値を示し、不確かな部分は定性的な効果として説明する方法が安全です。元の資料を開いてその数字が計算できるなら定量、記憶や聞き取りに基づくなら定性へ回します。
Q. 意思決定者が何を重視しているか分かりません。
その人が過去に承認した企画書と、差し戻した企画書を1つずつ見せてもらうのが近道です。何が書かれていて何が書かれていなかったかを比べると、重視している条件が見えます。