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生成AIと著作権の基本|仕事で文章・画像を使うときの注意点

生成AIで作った文章や画像を仕事で使う際、著作権の面で何を確認すればよいのか分からず、不安に感じる方も多いのではないでしょうか。この記事では、生成AIと著作権の基本的な考え方を解説します。AI生成文章・画像を使うときの確認ポイント、既存作品や他人の文章を入力するときの注意点、引用として使う場合の確認事項、そして商用利用前に確認すべき権利関係まで紹介します。

なお、著作権に関する最終的な判断は、個別の状況によって異なるため、この記事は一般的な考え方の整理として活用し、判断に迷う場合は社内の担当部署や専門家に確認することをおすすめします。

説明を具体的にするため、この記事では「自社の在庫管理サービスを紹介するA4片面のチラシを作り、展示会で500部配る」という1つの仕事を最後まで追いかけます。本文はChatGPTで書き、メイン画像は画像生成AIで作り、業界統計を1か所引用する想定です。社外に配る印刷物なので、確認を省略できる箇所はほとんどありません。

目次

仕事で生成AIと著作権を考えるときの基本

具体的な確認ポイントに入る前に、まず基本的な考え方を押さえておきます。

AI生成物でも権利確認が不要になるわけではない

生成AIが作成したものだからといって、権利関係の確認が不要になるわけではありません。生成AIは既存の文章や画像から学習しているため、出力された内容が既存の著作物と似てしまう可能性があり、利用する側が権利関係を確認する必要があります。

チラシの制作でも、「AIが作ったものだから自社のオリジナル」という整理はできません。印刷して配った後に内容を尋ねられるのは、作ったAIではなく配った自社です。そう考えると、確認を省かない理由がはっきりします。

生成過程と利用場面を分けて考える

著作権を考える際は、生成AIで作る過程そのものと、作ったものをどう使うかという利用場面を分けて考えます。生成すること自体の問題と、生成したものを公開・配布・販売する際の問題は、性質が異なるため、それぞれの段階で確認すべき点があることを意識しておきます。

この分け方でチラシの構成要素を並べると、確認すべき場所が具体的になります。

チラシの構成要素権利面で確認したこと配布前の対応
キャッチコピー競合3社の表現と似ていないか語順が近い1案を差し替え
サービス説明の本文出典が必要な数字が混ざっていないか根拠のない1文を削除
導入効果の数値自社の実測値か、AIが補った数字か自社データに置き換え
メイン画像既存作品やキャラクターに似ていないか画風の指定を外して再生成
画像内の小物・看板実在のロゴを想起させないか該当部分を無地に修正
業界統計の引用一次情報を自分で確認できるか業種が合う数字に差し替え
生成AIサービスの規約商用利用と生成物の権利契約プランの条項を確認

7項目のうち、確認だけで済むのは規約の1項目で、残り6項目は修正が必要になります。生成した時点では問題が見えず、配布物として見直したときに初めて気づく項目が多いのが、この作業の特徴です。

AI生成文章を仕事で使うときの確認ポイント

まず、AIが生成した文章を仕事で使う際に確認すべき点を確認します。

既存文章と似すぎていないか確認する

生成された文章が、特定の既存文章と表現や構成が似すぎていないかを確認します。偶然の一致であっても、既存の著作物に酷似した文章をそのまま公開・配布すると、権利上の問題につながる可能性があります。

似すぎを避けるには、そもそも他社の表現を材料として渡さないことが確実です。チラシのコピーは、自社の強みだけを箇条書きで渡して案を出させる形にします。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。

あなたはBtoBの販促コピーライターです。次の材料だけを使って、A4チラシのキャッチコピー案を8本作ってください。条件は3点です。(1)材料に書かれていない機能や効果は書かない、(2)他社サービスの名称や他社の表現は使わない、(3)1本20字以内。案ごとに「どの材料を使ったか」を括弧で添えてください。

【材料】在庫の棚卸し時間が月8時間から2時間に短縮(自社実測)/スマホのカメラで型番を読み取れる/既存のExcel台帳をそのまま取り込める/初期費用なし

材料を限定すると、他社の表現が混ざる余地が小さくなります。

出典が必要な事実や表現をそのまま使わない

特定の記事や書籍に由来する事実や独自の表現が、出典を示さないまま生成文章に含まれていないかを確認します。生成AIが特定の情報源の内容をそのまま反映してしまうことがあるため、この点は注意深く確認します。

チラシの本文に「導入企業の多くが初月から効果を実感」という一文が入ることがあります。自社にその調査データがなければ、どこから出た表現かも分かりません。こうした一文は、自分で探すより先に本人へ申告させると見つけやすくなります。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。

次の文章について、「出典や根拠の提示が必要な記述」をすべて抜き出してください。抜き出す対象は、統計・比率・順位・第三者の評価・業界の傾向を述べた部分です。各記述について「必要な根拠の種類」を1行で添え、根拠を用意できない場合の書き換え案も1つずつ示してください。文章全体の書き直しは不要です。

【以下、追加したい内容を記載してください】

※【 】の行は削除し、自分の情報に置き換えてから送信してください。

この確認で該当した文は、自社の実測値に置き換えるか、削除します。

社外公開する文章は人が最終確認する

社外へ公開・送付する文章については、AIが生成した内容をそのまま使うのではなく、人が最終確認を行います。社内向けの資料と比べて、社外公開する文章は権利上のリスクが顕在化しやすいため、確認の工程を省略しないようにします。

印刷物は公開後に直せません。チラシの場合、入稿の前に確認を1回挟みます。人が見る工程を残したうえで、見る順番だけを決めておくと、確認の抜けが減ります。

AI生成画像を仕事で使うときの確認ポイント

続いて、AIが生成した画像を使う際の確認ポイントを確認します。

既存作品やキャラクターに似た表現を避ける

生成された画像が、既存の作品やキャラクターに酷似していないかを確認します。生成AIは学習データの影響を受けやすく、意図せず既存のキャラクターや作品に近い画像を生成してしまうことがあるため、使用前に見比べて確認します。

チラシのメイン画像で「親しみやすいアニメ調で倉庫作業員のイラスト」と指定すると、出てくる人物が特定の作品を思い出す顔立ちになることがあります。原因は画風の指定にあり、この語を外して「線の細いフラットイラスト」に変えると、その印象は消えます。

指定した語が原因かどうかは、プロンプトを渡して確かめられます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。

次の画像生成プロンプトから、特定の作品・作家・キャラクター・ブランドを連想させる語を洗い出してください。洗い出した語ごとに、狙っている見た目を保ったまま置き換えられる一般的な表現を提案してください。表は「元の語」「連想されるもの」「置き換え案」の3列でお願いします。

【以下、追加したい内容を記載してください】

※【 】の行は削除し、自分の情報に置き換えてから送信してください。

「〜風」「〜っぽい」と書いた箇所が、そのまま候補として並びます。

ロゴやブランド要素の扱いを確認する

生成画像の中に、特定の企業のロゴやブランドを想起させる要素が含まれていないかを確認します。ブランド要素が意図せず含まれている場合、使用する前に該当箇所を修正するか、使用を見送る判断が必要です。

チラシの画像なら、背景の棚に貼られた小さなラベルに、実在の宅配事業者を思わせるマークが入ることがあります。人物を見ているときには気づかず、拡大して背景を見たときに見つかる箇所です。生成画像は主役だけでなく、看板・箱・画面・服の胸元といった細部まで拡大して見ます。

広告・資料・Web掲載など用途ごとに確認する

同じ画像であっても、社内資料で使う場合と、広告や公開Webサイトで使う場合とでは、求められる確認の厳密さが異なります。用途が公に広がるほど、権利上のリスクも大きくなるため、使用する場面に応じて確認の程度を調整します。

500部を不特定の来場者へ配るため、社内資料より厳しい基準で見ます。確認に時間がかかりそうな画像は、無理に通そうとせず、別の表現へ切り替えるほうが早く終わります。

切り替え先の案も出させられます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。

在庫管理サービスのA4チラシに載せるメイン図版として、人物イラストを使わない案を5つ提案してください。条件は3点です。(1)既存の作品やブランドを連想させない構成にする、(2)図解・アイコン・写真風など種類を分ける、(3)各案について「何を伝える図か」と「制作の手間」を1行ずつ添える。イラストの生成プロンプトは不要です。

権利関係に気を付けながら業務用の画像や資料を作る手順は、Canva AIを仕事で使う方法で解説しています。

既存作品や他人の文章を入力するときの注意点

生成AIに既存の作品や他人の文章を入力する際にも、注意すべき点があります。

このチラシで起こりやすいのが、制作の初日に競合3社のチラシPDFを丸ごと貼り付けて「この3社より刺さるコピーを作って」と頼んでしまうことです。出てくる案はよくできていても、印刷の直前に見比べると、1本が競合のコピーとほぼ同じ語順になっていたりします。他社の表現を材料として渡せば、他社に似た表現が返ってきます。当たり前の結果です。

著作物をそのまま大量に入力しない

書籍や記事などの著作物を、そのまま大量にAIへ入力することは避けます。入力自体が既存著作物の複製にあたる可能性があるほか、生成される内容にも元の著作物の表現が強く反映されるリスクがあります。

競合のチラシを渡す狙いは「自社が何を言えていないかを知ること」です。その目的なら、他社の文面ではなく、自社の材料と訴求したい相手を渡せば足ります。入力を避けるのは、材料を減らすことではありません。渡す材料を選び直すことだと考えると、判断が進めやすくなります。

社内資料でも第三者の権利を確認する

社内で使う資料であっても、第三者が作成した文章や画像を含む場合は、その権利関係を確認します。社外に公開しないからといって、権利確認が不要になるわけではない点に注意が必要です。

競合3社のチラシは、社内の検討用フォルダにも入っているはずです。社内で見るだけなら問題になりにくい一方、そこから抜き出した表現がチラシへ流れ込むと、社外に出る印刷物の問題になります。手元にある資料と、外へ出す成果物の境目を意識しておきます。

引用として使う場合に確認すること

他者の文章や情報を引用する形で使いたい場合は、いくつかの点を確認します。

引用部分と自分の文章を明確に分ける

引用する部分と、自分自身の文章を、読み手が明確に区別できる形にします。どこからどこまでが引用なのかがあいまいな文章は、意図せず他者の著作物をそのまま使っているような印象を与えてしまいます。

チラシで、業界団体が公表した在庫差異の発生率を1か所だけ引用するとします。キャッチコピーの下に数字だけを置くと、自社調査のように読めてしまいます。数字の直前に発表元を書き、枠で囲んで本文と分けます。

引用と自分の文章の切り分けも点検させられます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。

次の原稿で、第三者の資料から取った記述と、自社が書いた記述を分けて示してください。分けたうえで、第三者の記述それぞれについて「発表元の記載位置」「引用として区別する方法」「本文側に必要な補足」を1行ずつ提案してください。原稿の文章自体は書き換えないでください。

【以下、追加したい内容を記載してください】

※【 】の行は削除し、自分の情報に置き換えてから送信してください。

出典を示せる一次情報を確認する

引用する内容について、出典を明示できる一次情報を確認します。生成AIが要約・言い換えた内容をそのまま引用として扱うのではなく、元の情報源を自分で確認し、正確な出典を示せる状態にしてから使用します。

在庫差異の発生率も、出どころはChatGPTの回答であることが多くなります。発表元とされた団体の公表資料を開いて確認すると、数字そのものは実在しても、対象が想定と違う業種の調査であることがあります。チラシの読者が工務店なら、この数字は使えません。同じ団体の別の資料で、業種が合う数字に差し替えます。

引用の必要性と分量を確認する

引用する必要性が本当にあるか、また引用する分量が必要最小限にとどまっているかを確認します。自分の文章の分量に対して引用部分が過度に多い場合は、要約や自分の言葉での説明に置き換えることを検討します。

A4片面という限られた面積では、引用は1か所で十分です。引用を増やすほど、自社が何を言いたいのかが薄まります。この点では、権利の観点と伝わりやすさの観点が同じ方向を向きます。

商用利用前に利用規約と権利関係を確認する方法

生成AIで作った文章や画像を商用利用する場合は、事前の確認がより重要になります。

利用する生成AIの商用利用条件を確認する

利用している生成AIサービスが、商用利用を許可しているか、また許可の範囲がどこまでかを確認します。サービスによっては、無料プランでは商用利用が制限されている場合もあるため、契約しているプランの条件を確認します。

文章と画像で別のサービスを使うなら、確認も2件になります。規約は改定されるので、確認した日付をメモに残しておくと、次回の確認範囲が絞れます。何を見ればよいか分からないときは、確認すべき論点だけを先に洗い出せます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。

生成AIサービスの利用規約を自分で読んで確認するための「確認項目リスト」を作ってください。用途は、生成した文章と画像を印刷物に載せて社外へ配布することです。項目は10個以内、それぞれ「規約のどのあたりに書かれていることが多いか」と「自社に不利な書き方の例」を1行ずつ添えてください。規約本文は渡しませんので、一般的な構成を前提に答えてください。

生成物の権利に関する利用規約を確認する

生成AIサービスの利用規約の中で、生成物の著作権や利用権がどのように定められているかを確認します。生成物の権利がサービス提供者側に留保される場合や、利用者に帰属する場合など、サービスによって扱いが異なります。

画像を作るサービスでは、生成物の扱いが有料プランと無料プランで分かれていることがあります。無料プランで試作してそのまま印刷に回すと条件を外れる可能性があるため、本番用の画像は有料プランで作り直します。試作と本番でプランが違う場合は、本番の生成物がどちらの条件下で作られたかを揃えておきます。

判断に迷う場合は社内担当者や専門家へ確認する

権利関係の判断に迷う場合は、自己判断で進めず、社内の法務担当者や、必要に応じて専門家に確認します。著作権に関する判断は状況によって異なるため、重要な用途で使用する際は、事前に確認を得ておくことが安全です。考え方を整理する際は、文化庁のAIと著作権についてに掲載された「AIと著作権に関する考え方について」が参考になります。

コピーの語順が競合と近い件のように、現場だけで判断がつかないものは法務担当者へ確認します。相談の前に確認済みの項目を1枚にまとめておくと、聞きたい点だけを短時間で相談できます。以下はAIに送るプロンプトです。コピペして使ってください。

生成AIで作った文章と画像を印刷物として社外配布する前に使う「配布前チェックリスト」を作ってください。条件は3点です。(1)上から順に確認すれば判断が終わる形にする、(2)各項目を「はい/いいえ」で答えられる問いにする、(3)「いいえ」のときに取る行動を1行で添える。項目は12個以内、A4用紙1枚に収まる分量でお願いします。

まとめ

生成AIと著作権について考える際は、AI生成物であっても権利確認が不要になるわけではないという前提を持ち、生成する過程と利用する場面を分けて確認することが基本になります。文章では既存作品との類似や出典の要否、画像では既存作品やブランド要素との類似を確認し、社外公開する場合は特に慎重な最終確認を行います。

この記事で追いかけたA4チラシは、7項目に分けて確認すると、6項目で修正が必要になります。キャッチコピーは競合と語順が近い案を差し替え、根拠のない1文を削除し、導入効果は自社の実測値に置き換えます。画像は画風の指定を外して再生成し、背景のラベルを無地に直します。引用した業界統計は、発表元の資料を開いて業種が合う数字に差し替えます。競合3社のチラシを丸ごと入力してしまう失敗も、自社の材料だけを渡す形に切り替えれば避けられます。

引用として使う場合は引用部分を明確に区別し、商用利用の前には利用規約と権利関係を確認したうえで、判断に迷う場合は社内担当者や専門家に相談してください。生成AIを仕事へ取り入れる全体の流れは、生成AIを仕事で使う方法で解説しています。

よくある質問

Q. AIが生成した文章や画像には著作権が発生しないのですか。

生成物の著作権の扱いは、利用する生成AIサービスの規約や、生成への人の関与の程度によって異なります。この記事のチラシでも、画像を作るサービスで有料プランと無料プランの扱いが分かれる想定を置いています。判断が必要な場合は、利用規約を確認したうえで、専門家に相談することをおすすめします。

Q. 社内資料だけで使う場合は著作権を気にしなくてよいですか。

社内利用であっても、第三者の著作物が含まれる場合は権利関係の確認が必要です。この記事の例でも、社内フォルダに入れた競合のチラシから抜き出した表現が、社外へ配る印刷物に流れ込みかけます。公開の有無にかかわらず、権利を尊重する姿勢を持つことが大切です。

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