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生徒が生成AIを使う課題の設計方法|思考過程を評価する授業づくり

生徒が生成AIを使う課題の設計方法|思考過程を評価する授業づくり

生成AIの利用を許可した課題を出すと、完成した提出物だけを見ても、生徒がどこまで自分で考えたのかが分かりにくくなります。よくできた成果物であっても、それが生徒自身の思考の結果なのか、生成AIの出力をそのまま提出しただけなのかを、提出物からだけでは判断できません。

この記事では、課題を設計する前に決めておきたい学習成果から、生成AIを使ってよい範囲の決め方、利用を記録させる工夫、思考過程を残す方法、提出物と思考過程を分けて評価する方法、振り返りでの評価、そして課題全体を見直す基準までを順番に整理します。読み終える頃には、提出物だけに頼らず、思考の過程まで評価できる課題を設計できる状態を目指します。

目次

生成AIを使う課題で最初に決める学習成果

課題を設計する前に、その課題を通じて何を身につけさせたいのかを整理します。

生成AIなしでも身につけるべき力を決める

生成AIを使う課題であっても、生成AIがなくても身につけておいてほしい基礎的な力があるはずです。その力を最初に明確にしておくことで、課題設計の軸がぶれにくくなります。

AI活用によって深めたい力を決める

一方で、生成AIを活用することで、より深く考えたり広く調べたりできる力もあります。生成AIをどのように使うことで、どんな力を伸ばしたいのかを具体的に言葉にしておきます。

最終成果物だけでは測れない力を明確にする

完成した提出物だけを見ても測りきれない力、たとえば試行錯誤の過程や判断の根拠といった要素を、あらかじめ明確にします。この整理が、後の課題条件や評価方法の設計に直結します。

生成AIを使ってよい範囲を課題条件にする

学習成果が整理できたら、生成AIをどこまで使ってよいのかを課題条件として具体化します。

利用可能な作業を明示する

情報収集や文章の推敲など、生成AIを使ってよい作業の範囲を課題の説明にはっきりと明示します。範囲が明確であるほど、生徒も安心して活用しやすくなります。

利用してはいけない作業を明示する

一方で、最終的な結論を出す部分や、生徒自身の意見を述べる部分など、生成AIに任せてはいけない作業も明示しておきます。利用可能な範囲だけでなく、禁止する範囲も併せて示すことで、境界があいまいにならずに済みます。

利用した場合の申告方法を決める

生成AIを利用した箇所について、どのように申告してもらうかをあらかじめ決めます。申告の方法が明確であれば、生徒も後ろめたさを感じることなく、正直に利用状況を報告しやすくなります。

生徒のAI利用を記録できる課題にする

利用の可否だけでなく、実際にどう使ったかを記録できる仕組みを課題に組み込みます。

使用した質問を残す

生成AIへ実際にどのような質問を投げかけたのかを、記録として残してもらいます。質問の内容が分かることで、生徒がどのような視点で課題に取り組んだのかを把握しやすくなります。

採用した回答と採用しなかった回答を残す

生成AIから得た複数の回答のうち、どれを採用し、どれを採用しなかったのかを記録してもらいます。採用しなかった理由まで書いてもらうことで、生徒自身の判断の跡が見えるようになります。

AI利用箇所を提出時に申告させる

提出物のどの部分で生成AIを利用したのかを、提出時に申告してもらう形式にします。申告を前提とした課題設計にすることで、利用の透明性を保ちやすくなります。

質問と修正の思考過程を残す方法

生成AIとのやり取りの中で生まれる思考の過程を、記録として残す方法を整理します。

最初の考えを記録する

生成AIに相談する前に、自分なりの最初の考えを記録してもらいます。最初の考えが残っていることで、その後どのように考えが変化したのかを追いやすくなります。

生成AIへの質問を改善した過程を残す

最初の質問だけでなく、より良い回答を得るために質問をどう改善したのかという過程も記録してもらいます。質問を工夫する過程自体が、生徒の思考力を反映する材料になります。

回答を検証・修正した理由を残す

生成AIの回答をそのまま採用せず、検証したり修正したりした場合は、その理由も記録してもらいます。修正の理由が明確であるほど、生徒が内容を鵜呑みにせず考えていたことが分かります。

提出物と思考過程を分けて評価する方法

評価の際は、完成した提出物と、そこに至る思考過程を分けて見る方法を整理します。

成果物の評価項目を決める

提出された成果物そのものについて、どのような観点で評価するのかをあらかじめ決めておきます。内容の正確さや構成の分かりやすさなど、成果物として求める水準を明確にします。

思考過程の評価項目を決める

記録された質問や修正の過程について、どのような観点で評価するのかも決めておきます。試行錯誤の跡や判断の妥当性など、成果物だけでは見えない部分を評価する項目を用意します。

AIの出力そのものを高評価にしない

生成AIの回答がそのまま整った文章であっても、それだけで高く評価しない基準を設けます。生成AIの出力の質ではなく、生徒がどう選び、どう手を加えたかという部分を評価の中心に据えます。

振り返りで生成AIの使い方を評価する

提出物の評価だけでなく、振り返りを通じて生成AIの使い方そのものを評価する方法も取り入れます。

生成AIが役立った場面を説明させる

課題の中で、生成AIがどのように役立ったのかを、生徒自身の言葉で説明してもらいます。具体的な場面を挙げて説明できるかどうかは、生成AIを目的的に使えていたかを判断する材料になります。

誤りや不足をどう修正したか振り返らせる

生成AIの回答に誤りや不足があった場合、それにどう気づき、どう修正したのかを振り返ってもらいます。修正の経験を言語化することで、批判的に検討する力が育っているかを確認できます。

AIなしで考えた部分を確認する

課題全体の中で、生成AIを使わずに自分で考えた部分がどこだったのかを確認します。すべてを生成AIに頼っていないかを、振り返りを通じて教師が把握できるようにします。

学習成果を損なわない課題か見直す基準

最後に、課題全体が学習成果を損なっていないかを見直す基準を確認します。

課題の目的をAIで代替できていないか

課題の目的そのものが、生成AIを使うだけで達成できてしまう内容になっていないかを見直します。目的が生成AIで代替できてしまう課題は、思考過程を評価する仕組みがあっても本来のねらいを果たしにくくなります。

生徒自身の判断が必要な工程があるか

課題の中に、生徒自身が判断を下さなければ進められない工程が含まれているかどうかを確認します。判断を求める工程があることで、生成AIに任せきりにできない場面が自然と生まれます。

評価基準とAI利用条件が矛盾していないか

評価基準の内容と、生成AIの利用条件との間に矛盾がないかを確認します。利用を許可している作業なのに、その作業の質だけで高く評価してしまうといった矛盾がないか、課題全体を通して見直します。

課題設計に加えて、授業準備や教材作成、校務での生成AI活用全体を整理したい場合は、教師の生成AI活用ガイド|授業準備・校務で安全に使う方法も参考になります。

まとめ

生徒が生成AIを使う課題を設計するときは、まず生成AIなしでも身につけたい力とAI活用で深めたい力を分けて整理し、利用してよい範囲と申告方法を課題条件として明示することが土台になります。質問や修正の過程を記録させ、提出物とは別に思考過程を評価する仕組みを設けることで、生成AIの出力そのものではなく、生徒の判断や試行錯誤を評価対象にできます。振り返りを通じて生成AIとの向き合い方も確認しながら、課題の目的が生成AIだけで代替されてしまっていないかを定期的に見直し、学習成果を損なわない授業づくりを続けていきましょう。

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